第5章 女尊男卑
12:45
食品市で見つけたスムージーを片手に今日の夕飯の材料を探す3人。
「言っとくけど、これが今日の昼ごはんだからね」
スムージーを飲みながらいう華楓。既に飲みきってしまった竜紀は
「えーまじかよ、華楓一口くれよ」
「は?自分の飲みきってから言わないでよね」
「お前金欠なんだからもう少し身を引いたらどうなんだよ」
冷めた目で陽二は竜紀を見る。
「あーまじ俺のばか…」
「今日はとりあえず野菜スープかな、作りやすいし低コストで」
そう言った華楓は野菜が売っている店を探す。
市はどこも全長1kmほどあるため一つの店を探すのに一苦労する。
「あ、あった!」
じゃがいもや人参などが売っている白いパラソルの立った店。同じ野菜でも売っているものが違うと店も変わってくる。
「すみません、野菜スープを作りたいんですがおすすめの野菜2.5人分お願いします」
華楓は徹底して竜紀の分を減らした量を注文する。
「木更津さん隙がないな」
「ほんとだよ…ったく」
相変わらず残念がる竜紀。
「これらの野菜なら鶏肉入れた方が良いかもな、あっちの赤いパラソルの店に鶏肉売ってるから行ってきな」
お店のおじさんに肉を入れるのを勧められお店も教えてもらった華楓。
「よっし!肉入れろよ華楓!」
「うーん…じゃあ一口サイズで5個分かな、私と陽二くん2個で竜紀1個で」
「まじか…」
とりあえず肉を入れることになったのでそこから200mほど離れた赤いパラソルの肉屋に向かう。
「ねぇマジありえないんですけど」
華楓達が肉屋につくと罵声が聞こえてきた。
「あ、何があったんだ?」
「店の人ともめてるっぽい」
竜紀と陽二は野次馬の間を覗くように肉屋を見る。そこには店の人と男性客1人にカップルの客がいた。
「すみません…男性の方だけでしたので…」
店の人はペコペコと頭を下げている。
「俺はこいつの代わりに並んでたんだよ!それなのにこいつが先ってどういう事だよ!その癖売り切れって」
男性客を指さして男の方は怒鳴り散らす。
「申し訳ありません…」
店の人はどうしようもなく何も出来ないでいた。