第1章 先生好きだよ
誰もいない屋上で飛び跳ねて
心の底から喜んだ
無意味に横になり転がってみたり
手足をばたつかせながら飛んだり
誰も見ていないからこそ出来ることを
たくさんしてやった
じゃないと落ち着かなかったから
その日の帰りに洋服を買う事を決意
少しでも普段の私を知って欲しくて
私がどんな人か知って欲しくて
出来れば好きになって欲しくて。
嫌われたくないとしか思ってなかったのに
いつの間にかもっと欲を出していた
好きになると我慢が効かなくなる
屋上に寝そべりながら空を仰いでいると
先生が屋上に戻ってきた
「何している」
まるで異星人を見るような目
今はそんな目でも傷つかない
「生きてるって幸せだなって全力で感じてた」
少し恥ずかしくなって
立ち上がりスカートをはたく
「番号聞くのを忘れていた」
おもむろにポケットから携帯を取り出し
番号を教えろと言うように
携帯を何度も私に向けてくる
口頭で番号を伝える
先生はゆっくりと入力して通話を押した
『もしもし』
『もしもし』
『これだな』
そんな短い会話で電話は切られた
思わず恍惚とした表情で先生を見つめる
だけど先生は無視
そしてまた扉をあけ階段を降りていく
先生が私だけの為にまた来てくれた
電話越しにきく声も素敵だった
また電話がかかってくるのが待ちきれない
愛おしい、ただただ愛おしい
願っちゃいけないけどね
先生の一番になりたいよ