第1章 先生好きだよ
「起立!気を付け!礼!」
日板の堀川君が声を張る
「じゃあ教科書…昨日の続きをする」
最小限の必要事項のみ伝える先生
先生はもっと話をしたりしないんだろうか
友達は?家族は?
聞きたい事と勇気は反比例
そりゃ聞ける様な関係性になりたいけど
きっと先生は高校生なんて相手にしない
だから私も求めない様に頑張らないと
こうして授業はどんどん進む
私は一言一句聞き逃さない
先生の声が好きだから
よく授業中に寝る子がいるけど
人生損してるなって思う
こんなイケメンが私達のために声を出して伝えようとしてるのに聞き逃してるんだもん
まぁ私にしかない感情だと思うけど
日本史の後は適当
黒板に書かれた文字を写すだけの作業
先生の書いた字じゃないから見つめたりもしない
話している時の表情を見て心が満たされることもない
全てが作業に過ぎない
今日の晩御飯何かなとか
帰りにバレンタインの材料買って帰ろうとか
そんな事しか考えてなかった