第2章 過去の記憶と生命と
しばらく動けなかった。
あれだけエリザベスが私のことを見ていてくれて嬉しかったのか、
色々見透かされて放心状態になっているのか、自分でもよく分からなかった。
キング
「・・・・・オイラ、なんだかミーシャのことが心配になってきた。
ちょっと様子を見てくるよ」
ミーシャ
「!?」
キングが来る!
私はベッドにダイブし、ぎゅっと目を瞑った。
ドアの開く音がし、恐らくキングが入ってきた。
すると、一気に眠気が襲ってきてそのまま寝てしまった。
* * *
キングSIDE
まったく・・・、マーリンの奴ミーシャが起きたってどうして気づいたんだろうか・・・・。
ベッドの上では、ミーシャがすやすやと寝息をたてて眠っている。
マーリンが貸してくれた「眠り薬」と書かれた瓶を片手に、ミーシャの顔を改めて見つめた。
その瓶をミーシャにかけ、眠らせたのだ。
顔に所々傷がついており、綺麗な顔がもったいなく思えた。
昔、ミーシャがオイラの妹の森、「妖精の森」に迷い込んだ時があった。
妹のエレインが、オイラの元へ行くよう言われたのが事の発端だったんだ。
そして、オイラとミーシャは出会ったんだ。
あの頃のミーシャは、まだ罰を与えられたばっかだったから、声が発せない不自由に
オイラも、本人も大変困惑した。
ミーシャが再び旅に出た時は、少し様子を見に行った。
案の定、周りからは空気扱いで、挙句の果てには泥棒扱いもされた。
でも、ミーシャはとても優しかった。
困っている人を見ると、すぐさま近寄っっていった。
脱線した馬車を元に戻そうと押したり、
飛ばされた帽子を必死に追いかけたり、
それを見て、オイラは安心した。
何しろ、ミーシャは人一倍優しかったし、とても強かったのだ。
あ、肉体的な意味で。
だが、そのミーシャがこんなボロボロで帰ってきた。
初めて出会った頃と比べ物にならないくらいだった。
普通、お腹が空いて道に迷ったくらいじゃあんな傷だらけにはならない。
それは、誰もが察していることだった。
オイラはそっと頭を撫で、
キング
「ごめん・・・・」
ぽつりとつぶやいた。