第1章 三成さんと永利さん
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凛ちゃんとこの蜻蛉切がやって来ました。
どうやら凛ちゃんに贈り物をしたいみたいだけど、前世女、今世男の私に手伝える事あったっけ?
「どんな物を贈りたいのか、目星は付いてるのか?」
「恥ずかしながら、何を贈れば良いのか見当も付かず」
「刀やしな」
うーん、と首を傾げて
前世の私、何貰って喜んでたかな?
好きなキャラグッズ?まあオタクでしたし、普通に嬉しかった。
化粧はそんなにしなかったし。普通に社畜だったけど。あれ、私色々ダメ女?
いやいや、友人と旅行行ったりしたよ。
「そうだ、京都に行こう」
「三成、急に何言うてるん。蜻蛉切置いてけぼりやで」
「あ」
うっかり。現実逃避モードになっていた。
審神者はなかなか許可下りないものねえ、旅行は流石に。
変な空気になった場を流す為に茶を啜って、うん美味い
市が一連のやり取り見てくすくすと笑って。ああ、ここに良い先生が居たよ!
「市は、何貰ったら嬉しい?」
「市?」
市が貰った嬉しい物って何だろう?私色々と贈ったけど喜んでくれてたのかな。
チラリ、と市が私の顔を見て。にっこり微笑みながら袖で口元を隠す。顔が若干赤い気がするのですが
「市、ね、三成さまから貰った物全部嬉しかった…あ、お花、は?」
「花、ですか?」
市は庭に降りて蜻蛉切を呼び呼び
花の咲いてる花壇の前にしゃがんで、一輪手折る
ああー、そうか。その手があったか。
「三成さま、ね。こう、お花を髪にさして下さったの」
そう言いながら市は花を蜻蛉切の耳の上に飾り笑った。
「三成もやるなあ」
「煩いぞ永利」
「これを主にするのですか?」
「うん、とっても嬉しいのよ」
「分かりました、この蜻蛉切、必ずや成し遂げて見せます」
「いや、何か表情が物々しいが大丈夫か蜻蛉切」
「はいっ」
…うちの嫁様がアドバイスしたやつ。緊張からか蜻蛉切の頭から湯気出てるぞ
「このご恩は忘れません」
「はよ行き」
「成功を祈る」
「また来て、ね」
蜻蛉切の背中を見送って、さあさ、次会う時が楽しみだったりする。