第1章 三成さんと永利さん
なぁ? と、楽しげに、悪戯っ子の様な笑みを三成に向けた永利は嫌そうな顔をされて盛大に笑い出す。
お腹を抱えて笑い出した永利を足蹴にしながら、三成も真面目な顔をすると困ったときは言えと告げて永利が繋いだゲートの前に立つ。
市がふんわりと微笑み、凛を抱きしめると三成と市が先にゲートを潜る。
「そしたら、またな。IDは二人分、こっちのこんのすけに渡しとくさかい、別に何がなくても気軽に連絡してきて構わんで? 奥方も凛ちゃんのこと気にいった様やしな」
先に潜っていった二人を追うようにゲート前に立ち、こんのすけを肩に乗せて振り返った永利が凛に告げるとゲートを潜った。
その後の凛とその本丸での後始末についてはノータッチの為永利には判らないが、後日お礼だといっておやつが届けられホクホク顔でそれを相伴に預かる永利が居た。
ゲートを抜けてから、三成も直ぐに永利の本丸から自分の本丸へと市と共に帰っていった。ただ、時折凛が市を訪ねて来るようになり永利が度々三成の本丸で凛と会うようになるのはまた違う話である。