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三成さんと永利さん

第1章 三成さんと永利さん


26

三成と頷き合った後、永利はひっそりとコウガの名を心の中で呼ぶ。
周囲は既に戦場となっており、応戦中に追いついた自分の本丸の刀剣たちもそこに参加して蹴散らそうとしているが倒しただけ湧いてきているように数が減った様子がない。
それは三成の方もであり、敵を一度見逃して親玉を叩くにしてもこのままでは見失う可能性が出てきていた。

「(コウガ、追って場所を確認してきてくれへん?)」
『構わないが、大丈夫か?』
「(俺らを運べって言うてるわけやないから平気やろ。ゲッセイ、コウガと一緒に行ってゲートをこじ開けといて。出来ればあちらには閉じたと思わせるように結界で)」
『御意』

一振り、大太刀が永利の頭を狙って振り下ろされるのを細身の日本刀で受け流すように刃を流し、勢いを利用して迫るその首を切り落とす。
永利の指示に、二頭の返事が返ると永利はゲッセイから飛び降りて本格的に戦闘に繰り出す。
片手で腰に下げた携帯用のボウガンを取り出すと一振りで組み立てられるように改造したそれを振り、組み立てる。
矢は持ってきていないが、付喪神が堕ちて祟った部類になるそれらに実矢は不要だと口角を上げる。

「三成! 悪いけどちょっとこいつら頼むわ」
「はぁっ?!」
「面倒やから、湧いてきてるっぽいとこをとりあえず閉じてくる!」

手にした刀を一振りして血糊を落とし、器用に敵を避けその布地で拭い取ってから鞘に納めると駆け出す。
先ほどゲッセイの上から見た時に湧いていると思われる方向に向かい、襲ってくる亜種を極力避けながら無理な物はボウガンの餌食にして突っ切るとそこに辿り着く。
ズルリ、ズルリ、と這い出るように出てくる亜種たち共々、永利は霊力を編み上げて矢のようにするとボウガンに装填して一発放つと矢は五つに分かれ、五芒星になる様に均等に場に刺さった。
直ぐに印を組むと矢を起点に更に糸を編み上げるように霊力を練り、蓋をする様に網を張る。

「暇な時は相手したってもええんやけど、今は緊急事態や。悪いけど、これ以上は遊んでやれんし大人しくおうちに帰りや」

編み上がっていく糸の隙間から出ようとした短刀の手がジュッという音と共に弾かれゲートの向こうへと落ちていく。
ふさがった場を確認し、ボウガンを片付けると振り返る。
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