第1章 三成さんと永利さん
起き上がろうとしたがイマイチ布団から出れないのは、起き出してあれこれしないようにされているせいだろうか。
「起きれるのか」
「ああ、どうせ熱もそう困るもんちゃうから」
「そう言う問題じゃないだろう」
「はは、三成は面倒見がええねぇ。それに心配性や」
粥を椀によそって準備が出来たらしい三成に声を掛けられ、のんびりとした調子で返せばしかめっ面を深くして叱る様子に思わず笑いが漏れる。
起きれる様にして貰って体を起こせば椀と箸が差し出されて素直に受け取る。
「おおきに。今日は悪かったなぁ……こういうんやらせる気ぃはさらっさらなかったんやけど」
「ふん、そう思うならそうなる前にさっさとどうにかしろ」
「んー、熱くらいでこない寝るってことなかったし。気ぃ付いたら下がってることもようけあったからな」
うん、美味い。と椀の中身を口にしながら笑って言えば、しかめっ面で睨んだ三成が深くため息を吐いた。
がくりと肩を落としたらしい様子に苦笑して、永利が手を伸ばしてぽんっと頭を撫でてみた。
「ただの疲労からくる発熱やろうし、まぁ、定期的になるもんやから次からは気にせんでええよ。食欲が落ちるわけでも霊力や動きが鈍るわけでもない。ただのオーバーヒートや」
「それ、大問題だろう……」
「うーん、でも、今まで幼馴染以外で気ぃ付くんは居らんやったし、三成が初めてやで?」
「……何も嬉しくない」
「さよか。まぁ、でも俺は珍しくて嬉しかったで?」
おおきにな、と微笑んで再び椀に口を付けると作って貰った粥は美味しく頂いた永利だった。