第1章 三成さんと永利さん
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はあ…と少し溜め息を吐き
最近ちょっかいを掛けて来る男。永利はどうしたらいいのかと
パリパリと軽く頭をかいて執務をする。
あいつの使い魔を市が気に入ってしまったので縁を切るのは毛頭無いが
何かにつけて菓子を作ってくれと材料をこんのすけに持たせて送って来るので
どーしようもないなあの男。
こっちも執務の他に政務やってるっちゅーねん。
「三成様!お邪魔します!」
「永利のこんのすけか」
「そうでございます!」
こんのすけには罪は無い。もふもふと毛並みを堪能させてもらっていると
今日のお荷物です、と。また菓子作ってくれとの材料
「こんのすけ」
ポンッと軽快な音を立てて出て来たうちのこんのすけは現れた途端
ぷりぷり怒って機嫌が悪い?
「三成様の管狐は私だけでございますううう!!」
「悪い悪い」
永利のこんのすけを追い出して私にくっつくこんのすけに笑って。
よしよしと頭を撫でてやると尻尾をふりふり
「三成様、何用でございましたか?」
「あー、お菓子のレシピ本を注文してくれないか?」
「また永利殿に押し付けられたのですね…」
不機嫌そうに拗ねるこんのすけに少し笑って
お前の分も残しておくから、ね?と言えば
ふりふりと尻尾を揺らして
「注文して持って来ます」
そう言って軽快な音を再び立てて消えてったうちの子に
しょうがないなぁと笑って
今日のお八つにして持ってってやるか。蜜柑のプティング。
食べれるか?と聞くと目をキラキラさせて頷くこんのすけに
よーし、今日は多めに作って本丸の奴等にも差し入れするかぁ
と言う経緯で永利の本丸にいつもの様に来たのは良いけど。
「おい」
「お、三成よう来たなぁ」
いつもの永利だが今日は何かが違う、何だ?
「三成?」
徐に手甲を外して、永利の額に当てると
明らかに健康な人の体温じゃありませんでした。ハイ。
「貴様!これだけ熱があるのに何故気が付かない!」
「へ?風邪?」
永利の近侍を呼びつけ、布団を敷き
永利を布団の中に突っ込んで
「粥を作ってくる」
急に毛布に簀巻きにされて動けない永利を近侍に任せて
厨へと向かって行った
光忠と歌仙が居たが事情を話すと厨使わせてくれたよ?
鳥でコトコト出汁を出しながら米をといで。
…人の家に来てまで何やってるんだろう私。