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三成さんと永利さん

第1章 三成さんと永利さん


そうして過ごすこと数刻、のんびり、まったりとした永利の本丸に突如響いた足音に跳び起きたのは刀剣で、一切気にせず寝たままなのは永利である。

――スパーン!

勢いよく開けられた囲炉裏のある部屋の障子に驚き、飛び跳ねたのは五虎退。
他の刀剣たちもわたわたと慌て出し場は騒然としているが、呑気に寝続けるのはその主。

「きぃ~~さぁ~~~まぁ~~~、起きやがれ!」
「んー? もうちょい寝たい」
「もうちょい、じゃない! 起きろっ! 起きないならお前の所望したもん捨てるぞ!」
「えー……せっかく作ってくれたんやし捨てるんやのうて俺以外にあげればええやん」

剣呑な空気を纏って寝続ける永利を見下ろすのは、最近よく遊びに出掛ける先の審神者である三成である。
刀剣たちは一体何事かとオロオロとするが、ゲートが開いた時点で誰が来るか分かっていたらしい永利は意に介さない。
のんびりとした様子で伸びまでしてようやく起きると、おはようさんと挨拶までして三成を見る。
イラッとしている様子も見えるが、手には大きな箱を持って仁王立ちしているので永利はにっこりと微笑む。

「まぁ、まぁ、怒らんと座りぃ」
「……はぁ」
「お茶、何がええ? 抹茶くらいは立てれるけど普通に紅茶とかがええ? ああ、でも作ってきてくれたなら緑茶やほうじ茶でもええかなぁ」

永利の余りの様子にがっくりと膝を突いた三成の手からケーキを受け取り、お茶を用意し始めると恨めしそうに見上げられる。
ん? と首を傾げる永利に処置なし、と首を振ったのは三成だったのかゲッセイとコウガだったのか。

『主が申し訳ない……』

二頭揃って三成に頭を下げたのは、もはや過去から現代に至る必然である。
永利はそれを見ながらオロオロする短刀たちを落ち着かせ、まだ戻ってない刀剣たちも呼ぶように言うとお茶の準備を始めた。
これだけはきちんと淹れれるので脱力から戻って座り直した三成にも出すと、お茶会が始まった。
会話は主に永利が聞きたいことを聞いたりすることが多いようだが、ひとまず平和に過ぎ去ったようだった。
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