第1章 三成さんと永利さん
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三成の所で打ち合って暫くした頃、永利は思い立って出かけた先で季節の物を仕入れたので幼馴染の本丸に顔を出したがあいにくと目的の人物は不在。
お土産はそのまま置いてきたものの目的を果たせぬままに自分の本丸に戻ってきてしばし唸ると、ぽんっと手を打ってこんのすけを呼びだした。
「お呼びですか!」
「おう。こんのすけ、悪いけど三成んとこ行ってきて」
「はい! 何をお運びすればよろしいですか?」
「ん、コレとコレ、あとはコレな。んで、コレで菓子作ってって伝えてきて」
「かしこまりまして!」
呼びだしたこんのすけに永利が託したのは出かけた先で見つけた食材。
今が旬の秋刀魚を筆頭に秋の食材が迫っている。料理は専門外だが炭火の用意や食材選びの目は幼馴染に鍛えられてかなり上級者である。
せっかくだからと大目に買い込みいつも作ってくれる幼馴染と三成にもおすそ分けにと仕入れてきたのだ。
そしてそれを幼馴染に持ち込んで栗でお菓子をと思ったが、本人は遠征の陣について行ったとのことで不在だった。
ちなみに、幼馴染の本丸は姉が主でその補助に弟が付いている。色々分けありの本丸である。
それはさておき、作って貰おうと思った相手が居ないのでは食材をどうしようかと唸るのも致し方ない。
料理については光忠を筆頭に仕込まれている永利の本丸ではあるが、洋菓子はイマイチだから作りたくないと言われたばかりである。
食べたいのはモンブラン……と、言う訳でレシピ付で三成に届けることにした永利である。
「お届けしてきましたー!」
一刻も待たず戻ってきたこんのすけは、直ぐに出来るかー! という三成からの伝言を持って戻ってきた。
よくやった、と褒めるついでに撫で回したこんのすけはもっと撫でてとばかりにでろんと伸びている。
「まぁ、気ぃ向いたらその内連絡あるやろ……待ってる間に仕事終わったし昼寝しよ」
一通り撫で回し終わって、くわっとあくびをした永利は囲炉裏がある部屋に移動するとゲッセイとコウガを適度な大きさで呼び出してそこに埋もれて昼寝を始めた。
暫くするとその周りに内番が終わった五虎退やら、もふもふが好きな短刀に蛍が集まり一緒に埋まり始める。
実は永利が昼寝をし始めると良く見る光景である。
ゲッセイとコウガも刀剣たちには警戒をしないのでゆるく尻尾を回してあやしている。