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三成さんと永利さん

第1章 三成さんと永利さん


19

「始め!」

光世の掛け声に、一瞬で間合いを詰め下から永利の胴を目掛けて木刀を振り上げるも

何かの存在がクッション代わりになったのか手ごたえは中途半端
だが何の事はない、闇の婆娑羅で生気を吸うだけだった

「っとと、危な」
「フン、その狼共々喰ろうてくれるわ」
「それは堪忍、早いなぁ」

身体から婆娑羅が滲み出る感覚がする
不味いな、どこまで手加減できるやら…
せめて永利を無力化、負けを認めさせないと
フルボッコにしてしまうなと木刀を握り直し

一撃だ、一撃で無力化させよう

思いきり木刀を降り下ろし
其れは防御する木刀で防がれたものの
闇の婆娑羅が斬激となって3つに別れ
永利の着物の、3ヶ所が斬れ木刀も折れた

「あ、やべ」

奴の着物斬ってしまった
それでも収まらない闇の婆娑羅をどうしようか。
ビリビリと空気を震わせる力に戸惑っていると
光世にがしりと腕を掴まれ

「抑えろ三成。お方様」
「は?」

市の婆娑羅が身体に巻きつき力を吸われて膝を着く
ああ、暴走しかけた婆娑羅が吸われていく

「無事か、永利」
「いったぁ、大分霊力吸われたけど何とかなぁ」

木刀が折れた時に手が痺れたのか
手を振ってる辺り折れてはいないな

戦後は力が有り余ってしまうから
今度から帰って来る時は吉継と手合わせしてから帰るか。

悪かったな、そう言いながら目を瞑って
気を失っていった。




三成の近侍、大典太光世に横抱きにされて眠る三成を見ながら。

「大丈夫なん?」
「雨の降る中の戦だったらしく疲労も溜まってたか、直ぐに目覚めるだろう」

するすると市の闇の手が三成から離れて
市の足元に消えて行き

「ゲッセイちゃん、コウガちゃんごめんなさい」

永利以外他のモノには見えぬ狼を撫で
お茶にしましょ、と永利共々道場から出て行った。
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