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三成さんと永利さん

第1章 三成さんと永利さん


01

三成は今回、妙な胸騒ぎを覚えて。
出陣前の刀剣達に声を掛けた

「光世ー、光世ちゃん」
「その呼び方は…はぁ、まあいい。何だ」

もう顕現時から光世、光世ちゃんと呼ばれてた大典太光世は
少し溜め息を吐いてから
聞かぬ主に用件を問うと戦装束に着替えた三成は
逆らえぬ笑顔を浮かべている

「今日は私も戦場へ行く。貴様達の腕前を見る良い機会だ」
「はぁ?」

光世はポカンとしている所で数珠丸は「またですか」と肩を竦め
源氏兄弟も慣れたもの。
五虎退と今剣の極めた短刀2人は三成の参戦にわあいと喜ぶ始末。

その様子に光世はこれがデフォなのかと諦めた。

「市、留守を頼む」
「うん、いってらっしゃい」

にこにこと亭主の三成を見送る織田の魔王の妹。
豊臣ではなく毛利に仕える主の石田三成。

俺達の中で無い歴史を持つこの方々は、どうしたもんだとぱりぱりと頭をかく

「よし、行くぞ」

主の掛け声と共にとある時代に跳んだ、俺達の経験を上げる為の出陣だろう

空間移動してから、ぞろぞろと湧いてくる敵に
主は俺達が傷つかぬ様に見渡しながら

人間かと疑う程の神速の居合いで敵を斬り、韋駄天の如く見えぬ速さで走るのは
長谷部以上。極めた短刀以上。

「あんたとんだ化け物だな」
「まあ、人間辞めてる自覚はある」

黒い闇を纏った紫色の剣戟、残像に最初はただただあっけに取られたものだ。
俺達が相手にする敵の1軍以外を掃除した主に、数珠丸は
私達の相手が減りましたねと、にこりと微笑みながら言う。

新参者の俺よりも、他の奴等の方が主の事を知っているのは
何だか妙な感情に襲われ。

駄目だ、雑念が邪魔をする、と頭を横に振る。

「お前達」
「?」
「誰かが同じ空間に居る。恐らく審神者だ」

主の声に、全員が「は?」と素っ頓狂な声を上げ
珍しい、主の他に戦地へ向かう者が居るなんて。

ゆっくりゆっくりとだが、その方向に誘導させられいるのか?

偶には敵の策に乗ってやろう、と鋭い目で笑う三成の提案に

俺達ははいはい、と命に従いながら敵を斬っていった。
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