第1章 三成さんと永利さん
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「もおおおとおおおなあああありいいいい!!!」
「何ぞ、貴様はこうでもせぬ限り友も作らぬではないか」
「三成さま。どうどう」
ギィン!ギィン!と刀をぶつける音に案内の薬研は「またか」と零す
「大将と毛利公の小競り合いだ。直ぐ終わるさ」
「へぇ」
毛利公?毛利元就か。まー、奥方も織田信長の妹のお市の方だと言ってたから
三成の世は面白い事になってるんだな、歴史とか。
着いて来た太郎、次郎、五虎退も動揺してる顔になって
さあ、どうするかね。
「あ、みつなりさまのおきゃくさまですねー、まっててくださーい。いま、とめてきます」
極の今剣が屋根から落ちてきて、主を止めて来ると言う。
そういや演練の時にうちの五虎退がここの極五虎退に影響を受けて旅に出たいと言うてたなぁ
まだ練度が低いからもう少し待ってなと言いはしたけど。
「あるじさまー、もとなりこうー…おきゃくさまですっよ!!!」
「「なっ」」
三成と元就の間に入って短刀を間合いに入れにっこり微笑むと、2人でぶすーっと
「おきゃくさまですよー」と再び言い直すと三成、市、元就がこちらを見て
市と三成が頭を下げた。
もう1人が下げないって事は身分が上だと言う事だろうか。
客間に通される時は大きな虎を連れた極め五虎退を、こちらの五虎退がしきりに話しかけたそうにしてて
なんや、別に警戒されてるんじゃないんやな。
土産と、持って来た覚えの無いケーキを茶菓子に。大典太光世が石田三成とやって来て。
あ、さっきじゃれあってた毛利公も一緒になって座り。
「んで?」
「ん?」
「アポ取るくらいだから何か用事あったのだろう」
用事ねえ…何かあったっけな?
「こやつは天然故、初対面でも気を引く性質を持っているタチの悪い男ぞ」
何かが面白いとこでも見つけたか?
上司らしき毛利公がそう言って茶を啜る
あんたも随分と面白そうやで毛利公。
「ま、初対面のお方がおるんやし、挨拶といきましょか」
「安芸を治める大名、毛利元就」
「部下の石田三成だ」
歴史マニアが聞いたら卒倒しそうやねえ…