第1章 三成さんと永利さん
ええ子やな、と頭を撫でようと思った永利だが自分の刀剣ではないので上げかけた手を降ろすと気を取り直して案内を始めた薬研の背を追う。
背後ではどこかピリピリとした雰囲気をした太郎が次郎に宥められている。
永利が苦笑し、振り返ると手を伸ばして太郎の頭にぽんっと手を1つ跳ねさせてから五虎退を抱き上げて預けた。
預けられた太郎の方は不本意、という表情だが幾分リラックスしたようで五虎退を腕に抱いて雰囲気を和らげる。
案内された先には多分、不本意とでも顔に大書きしていそうな三成が座っている気がする、と想像していたずらっ子のような笑みを浮かべクツリと喉を鳴らす。
周囲の警戒するような気配には微塵も動じない永利は、辿り着いた部屋で待つように言われて腰を落ち着けた。