第1章 三成さんと永利さん
太郎次郎の影からひょっこりと顔を出した五虎退に頷き、じゃあこの三人で、と連れていくメンバーを決めて立ち上がると自室にしている部屋に向かう。
軽い物ではあるが、正式な訪問なので神官衣装の簡易の物を身に着けるとゲートを開けるために執務室へと向かう。
執務室には既に準備を整えた太郎と次郎、五虎退がこんのすけと共に待っていた。
「待たせたか?」
「いえ、今集まったばかりですから」
「さよか。ほんならこんのすけ、ゲートつなげたって」
「はい!」
永利の言葉に太郎が答え、こんのすけがひょいっと後ろ足で立ち上がる。操作するのは3D映像の様なタッチパネルのキーボードだ。
前足で軽快にキーを操作していく様子を眺めつつ、ゲートを繋げる襖を見る。
ピッピッという機械音が響き、何度か繰り返した後こんのすけがキーボード前から離れるとゲートが開いたのか襖の向こうに壁ではなく光が漏れてくる。
「ほんなら行くか」
先に立って先導するのはこんのすけで、その後を永利、太郎、次郎が続いていく。五虎退は永利と手を繋いでゲートを潜っていた。
そうして出た先には薬研が控えていた。全員が潜り終ると一旦閉じたゲートを確認してこんのすけが永利の肩によじ登る。
永利の方は誰か居るだろうと思っていたので控えている薬研に特に驚くこともなく、のんびりとした笑みを浮かべ声を掛けた。
「お邪魔さん。こんのすけがアポ取ってくれたんやけど、三成はんお手隙やろうか?」
問えば出迎えた薬研が頷いてこっちだと踵を返した。
「あ、ちょい待ち。先にコレ渡しとかなあかんかった。コレ、今日お邪魔するお礼とか諸々のお土産。俺のお勧めのお菓子な。俺やのうてちゃんと別の奴が作っとるから安心して食ってて伝えて」
「わかった。大将にちゃんと伝えとく」
「ん、よろしゅう」