第1章 三成さんと永利さん
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「(前代未聞、引き分けか)」
周りの観戦者達の動揺の声が響く中
劣勢の中よくやったな、と五虎退、今剣の頭を撫で。
光世にそ~っと手を伸ばすと白羽取りの体勢で阻止された。いけず~
「市の所へ戻るぞ」
「はーい!」
今剣の元気な声と共にステージを出ると同じタイミングで出た永利と鉢合わせてしまった。
「…何だ」
「いんやぁ?劣勢やったのに強いなぁ三成の刀剣は」
「訓練の賜。全力で力を出したこいつ等の努力だ」
優しいなぁと言う永利を睨み付け
何なんですかこのオッサン!やたらちょっかい掛けてくるなと思ってたら
私を包む様に大きな闇の手が永利の視界を遮る。
流石に、市の婆娑羅に驚いてるのか「すご」と声が漏れていた
「三成さま、お疲れ様」
「ああ、ただいま。市」
もうこのオッサン無視
市の警護を任せてた光忠に礼を言って、さて帰るかと用意してたら
ぱたぱたと市が光忠を連れて、ん?どこに行くんだ?
永利のとこに向かった市に目を大きく見開いた
「ちょ、え、市?」
何でそっち行くの?と思ってたら何かの紙を渡して
お辞儀して戻ってきた市の両頬をむにっとつねる
「お市ちゃん?何してたの?」
「えへへ、ご挨拶」
「あんなオッサンに挨拶なんて必要ありません」
「もう、三成様ってば、お方様は浮気とかしないの知ってるでしょ」
光忠に宥められて。
分かってるよ、何か提案があって動くのはお互いさまだもの
んで?何しに行ったの?とやわらかい頬っぺたをむにむにしてたら
永利がこっちに来ると共に発した市の言葉に青褪めた
「ふふ、あのね。頼宮さま、三成さまのお友達になれるかなって」
本丸にゲート繋げる様に本丸コード教えてきちゃった。
「はあああああ!?」
市いいいいい!?何てことしてくれてんの!?
あいつ昨日の事も考えて超要注意人物やないか!!
「市ね、あの方とも仲良くして欲しいなって、思ったの」
可愛い笑顔に私がめろめろ、じゃねえ。ここは一つ亭主として
ちょっと友達になれる基準を教えてあげようかと
頬っぺたむにむにしながら「市ぃ?」と口を開いた時