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【DQ11】星屑の旅人

第6章 熱砂の国


ダーハラ湿原で見つけてきたアイテムは、言われた通りに表通りの道具屋で売却するとまあまあの額になった。
まあまあどころか、初めて自分で手にした小遣いにしては立派な額である。初めてにしては大した成果といえた。にも関わらず○○の内心はひどく沈んでいる。

――どうしてだろうか。

手の中の百ゴールド金貨を握りしめると、自然とため息がこぼれてくる。
正真正銘自分で得た収入、金貨の重みと輝きは、思っていたより頼りなく他人じみていた。
沈んだ気持ちを鼓舞させようと、○○は思い切って顔を上げた。

――何か、買おうかな。

日が落ちつつある表通りには、すでにいくつかの露店が品出しを始めていた。○○は、そのうちの一つを覗いてみる。指輪やネックレス、ガラス玉などが所狭しと並んだ宝飾店である。
「おや、かわいらしいお嬢さん。」
愛想のいい男性店主が、さっそく両手をこすり合わせながら現れた。
「何かお探しで?」
「えっ、あ、いえ…」
金貨を握った手を後ろに隠しながら、○○は、
「その…綺麗だなあと思って…」
半分は本音、半分はごまかしだったが、店主は嬉しそうに、
「おお、嬉しいことを仰る。いかがです。お嬢さん、どれでもお試しになってみて結構ですよ。」
と、手近にあった金色のネックレスを取って、○○の前に提げて見せた。
「これなんか…ほら、よくお似合いですよ。銀製もございますが、お嬢さんは首元が細くて、お肌も白くていらっしゃるから、金の方が映えますな」
「あ、あの…」
ふと、視線を彷徨わせた先に、小さな指輪を見つけた。

――どことなく、形があの鳥の指輪に似ている

店主は目ざとく気付くと、
「おお、お目が高い。良い細工でございましょう?150ゴールドと、大変お求めやすいお値段ですよ」
150、と○○は拍子抜けした。今の手持ちでも、十分に買えてしまう。
「…金ってそんなに安いんですか」
店主は、大きな目を二三度瞬くと、
「ははは!いえいえ、まさか。こちらは純金ではございません」
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