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【DQ11】星屑の旅人

第5章 次なる旅立ち


宿に戻った二人は、早速旅の再開に向けて支度を整えはじめた。
「それじゃとりあえず、これを渡しておくわ」
と、シルビアが○○に手渡したのは、かなり大きめの旅用鞄だった。
「えっ…これ、私の鞄なの?」
「そーよん。アナタもこれから装備を整えていくでしょ?自分の荷物はちゃあんと自分で持つのよ。」
素直に頷く○○に、それより中身を見て頂戴、とシルビアは鞄の口を開けさせた。中には薬草など雑貨が数点。特に目を引いたのが、
「えっとこれ…なに?」

――美しい細工の施された、鳥の羽根らしきもの。

「そ。『キメラの羽根』ちゃんよん。」
いざって時のためにね、とシルビアはその羽根を○○の手から取ってひらひらと見せつけた。
「これを使うと、最後に立ち寄った教会のある町まで一瞬で移動できるの。ここからの旅、長くなるからね。もし魔物ちゃんに襲われたとかでアタシとはぐれたら、これをすぐに使ってねん」

――なるほど。
○○はしげしげとその羽根細工――キメラの羽根を見つめる。
本物のキメラ羽を加工して作られているのか、見る角度によって表面の毛羽は、虹のようにきらめいた。
「お財布には、お小遣いを入れておいたわ。緊急時にも使えるように、無駄遣いは禁物よん」
「うん。ありがとう」
「あと、一緒に買った服や靴も、忘れないでね」
「分かってる」
「それからそれから…」
「シルビア…自分の分はいいの?」
え、アタシ?とシルビアは頬に両手を当てて辺りを見回すと、
「もう終わってるわよ?」
「えっ」

――ついさっき荷造りを始めたばかりと思ったが。

「ほら。あそこにあるので全部。」
と、指さす先には、確かに彼愛用の道具袋が置いてある。シルビアは意外にもかなりの軽装だった。
いや、旅慣れているが故の身軽さかもしれない。

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