第4章 更夜の誓い
もがく○○だったが、シルビアの腕は優しく○○を縛める。
――屈強な男たちを打ちのめし、赤毛を締め落した腕とは、到底思えないほどに。
途端に、安堵が潮のように押し寄せた。
「…言いたいことは多々あるのよ」
ほんのわずかに○○を睨むシルビア。
「無事でよかった。帰りましょ、○○」
――その一言が、胸の中にすとんと落ちた瞬間に、○○の目じりに新たな涙がにじんだ。
シルビアはたぶん、何もかも分かっているのだ。
○○が今感じている、痛いほどの後悔も、身の置き場のなさも。
困惑、孤独、あるいはもっと、言葉にならないような感情も。
「…うん」
――落した言葉は、夜に吸われるように消えていった。
○○は黙って、シルビアの胸板に頭を預ける。