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【DQ11】星屑の旅人

第9章 邂逅


しかし仲間と言ったところで──とシルビアはよくよく一行を観察してみた。
イレブンの真隣に立っているのは青髪の若い男だ。年齢はイレブンよりやや年かさ。視線には油断なく鋭いものがある。王子を含め、周囲を伺う姿は、なる程堅気の連れというわけではないらしい。
しかし問題はその後ろ、寄り添うように連れ立つ二人――輝くばかりの金髪の乙女と、赤いフードをまとったあどけない少女だ。背にはそれぞれ揃いの旅の荷を抱えている。まさか、彼女たちまで戦いの場に連れ出すつもりなのだろうか?
そもそも危険極まりない砂漠の旅に伴うべきですらない様にも思うが──

──どうしてあんな子たちまで

と、そこでシルビアは○○を振り返った。
突然見つめられ、不思議そうに瞬きする○○に、シルビアは一度だけ微笑んで、

──まあそれは言いっこなしかしらね

何かしらの事情はあるのだろう。

――恐らく、王子の実情はイレブン一行も承知の上。
王子が何事か部下に指示を出す間も、誰一人口をさしはさむでもなかった。
ただ青髪の青年があからさまに「やれやれ」と肩をすくめたこと、赤いフードの少女が腰に手を当てて胸をそらしたこと、金髪の乙女が伺うようにイレブンの方を見たこと──
素直に頭から納得ずく、というわけではないのは理解できた。
「ねえ、○○」
「…うん」
「覚悟は、いいわね」
「…うん。大丈夫」
○○の頷きを目に留めてシルビアも首肯ひとつ、王子の一隊が先に出発したのを見計らってから、今までひっそりと見守っていた彫像の上から立ち上がった。

「…ねえ!あなたたち!」
突然頭上から降ってきた声に、はっと周囲を見渡すイレブン一行。
「楽しそうじゃない?アタシも混ぜてよ」
と、言葉一つ置き去りに、シルビアは見事な跳躍を見せてイレブンたちの前に着地した。
──流石に想定外の登場だったらしい。全員それぞれの動作で身を退いた。

シルビアは、更に笑みを強める。

一瞬のことだが、イレブンは片手に仲間を庇い剣の柄に手をかけた。青髪の青年も同じくわずかに身構えた。金髪の乙女は幼女の前に滑り出て、幼女は両手杖を握る手に力を込める──
旅慣れた、あるいは戦いをよく知る者の反応だった。
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