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【DQ11】星屑の旅人

第9章 邂逅


「ね!シルビア、見て!」
○○が抑えた声を発した。はっとその声が示した方──灌木に隠れた通路から、例の四人組──イレブンとその仲間たちが姿を現したのだ。

秘密裏に城門を越えたにしては、特に後ろめたい様子もなく、いたって堂々と王子たちのいる方向に向かっていく。
このままでは彼らも見つかってしまう──

「ど、どうしよう、シルビア。イレブンさんたちが」
動揺する○○とは対照的に、シルビアは冷静だった。○○の後ろから手を回し、軽く口を覆って耳元に囁く。
「落ち着くのよ、○○。──見て」
身を屈め、視線で促す。
四人は迷いのない足取りで、王子たちの前まで進み出る。王子も一行に気づいて驚いたような──様子はなく、なぜか気安くさえある様子で、一行を迎えた。

──どう言うことなの

シルビアは、口元に手を当てる。
王子は先頭に立ったイレブンの肩を叩いた。見るからに親しげな様子である。兵士たちは戸惑ったように顔を見合わせあうばかりだ。
「ねえ、もしかして…」
と、○○はシルビアの手を離す。
「──王子様も、イレブンさん達を待ってたんじゃないかな?」
まるで定規で線を引くように、○○の一言がシルビアの中に散らばっていた事実をつなぎ合わせた。

──謎の旅人、類まれな騎馬の才、戦いを知っている身体、大っぴらにできない王子の実情に、どういうわけかあっさりひっそり許された出国──

「なるほど。そういうことねん…」
シルビアは、我知らずに微笑んだ。

つまり王子はまたしても、あのイレブン青年とその仲間たちに、何かしらの助け──魔蟲退治に関わる助力──を求めたに違いない。

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