第9章 邂逅
「これは面白くなってきたわね…」
イレブンたちはこの状況で、袖の下を渡すわけでもなく、あっさりと出国を許されたということになる。それも、決して真っ当とは言えない場所から。
「シルビア、みて」
――○○が、シルビアの袖を引いた。
「あれは…」
○○の指差す方――建物と建物の重なり合ったちょうど死角に当たる部分、一見ひどく判りづらい箇所――に、整備用と見られる足場がある。コの字の鉄杭を打ち込んだ簡易なきざはしは、城壁の上まで続いていた。
――なるほど。
シルビアは○○を見て、
「…アナタ、高いところは?」
「…多分平気」
返事の代わりに、シルビアは○○の背を軽く叩く。
「さあ、急ぐわよ。○○」
そのまま、なに食わぬ顔つきのまま木陰を滑りだすと、一度だけにま、と笑んだ。
「――運命の王子様を捕まえましょ」