第2章 二ヶ月目の戦い
まあ冷静に考えると、私の方がひどいっすけどね。
一松さんはほとんど寝ずに、私のため走り回ってくれたのに。
私が一番、ダメな奴だなあ。
ごめんなさい。
にゃーと鳴き、顔を舐める。
すると一松さんは私を見下ろし何か言った。
『××、×××……』
頭を撫でられ、至福。足下に転がり、お腹を見せてバタバタする。
顔を近づけ、一松さんの口にキスをする。
一松さんの空気もようやく和らいだ。
笑って私を撫でながら独り言のように言った。
「このままでも、いいのかもしれないな……。
猫なら、出て行かないで……ずっと、俺の、そばに……」
ん?
起き上がる。だが一松さんは目を閉じていた。
……寝てる。そういえばほとんど寝てませんでしたよね。
でも座ったまま寝るなんて、身体に悪いなあ。
「一松さん、起きて下さいよ」
身体を軽く揺さぶる。
……あれ?
自分の身体を見下ろす。人間の私だ。
世にも奇妙な子猫薬。効果は一日半? また中途半端な。
「一松さん、元に戻りましたよ、ねえ!」
喜んで起こそうとし、止める。
部屋の外に気配がないことを慎重に確かめ、
「…………」
一松さんに、私の方からキスをした。
起こさないようにそーっと横にし、添い寝の姿勢になる。
寝顔はとても可愛い。
「ありがとう、一松さん」
とつぶやき、目を閉じた。
…………
「ついに……ついに我が家がラブ○にっ!!」
「布団敷きなよ。上手くやったみたいだけど、畳だと掃除がしにくいよ?」
「えー!? 一松兄さんと松奈、×××したのー!?」
翌朝、童○どもの絶望的な声に起こされた。
誰でもいいから、私が戻ったことを喜んで下さいよ……。
畳の上で寝たから身体がちょっと痛かった。
「ふーん、戻ったんだ」
一松さんは一転して、冷たかった。
しくしく。