第8章 派生④カラ松END
「カラ松兄さん! 手伝うよ!!」
後ろでは十四松さんが、いつもの予測不能な動きで、カラ松さんと梱包を解く作業に入った。
「どう? あいつ優しい?」
台所で一松さんに聞かれる。
「うーん。少しノーグッドなときもありますが、たいていジェントルなクールガイですよ?」
「……まあ上手く行ってるみたいだね。何かあったら言って」
「はい、ありがとうございます!」
一年の間に、一松さんとはすっかり兄妹に戻れた。
私はまた世話を焼かれるようになってる。
他のご兄弟も、言わずもがなである。
そして今度はおそ松さんが飛び込んでくる。
「二人とも! 今夜はうちで引っ越しパーティーだからな!
セッ○スしすぎてサボるんじゃねえぞ!!」
「声大きいから……」
先が思いやられるなあ。
でもまあ、これはこれでいいのかもしれない。
家族思いのカラ松さんは寂しい思いをしなくて済むし、私も毎日が楽しい。
大好きな人たちがすぐ隣にいるんだから。
「カラ松兄さん、夜までに終わりそう?」
「ノープロブレムだ! チョロ松!」
「松奈、ちょっとこの量、多くない?」
私からメモを受け取り、げんなりする一松さん。
「仕方ねえな。じゃあ片付け組と買い出し組に分かれるぞ!」とおそ松さん。
『おー!』
「何で私たちの家なのに、皆さんが仕切るんです……」
まあそんな感じににぎやかで、カラ松さんの就職も私の夢の実現もまだまだ先になりそう。
だけどこんな日々が続くのも最高に楽しく、とても嬉しいのであった。
そして松野家にパーティーに行くとき、玄関でカラ松さんが私の耳元にささやく。
「ハニー、もう少しの辛抱だからな。今夜は寝かさないつもりだから……」
酒盛りで明け方まで飲んでるパターンでしょうな。
ちゃんと連れ帰りますからご心配なく。
「大丈夫ですよ、カラ松さん」
こっそりキスをし、微笑む。
「私もあなたといられるなら、どこだって最高に幸せですから」
カラ松さんが微笑む。私よりもっと幸せそうに。
「よし子猫ちゃん、行くか!」
「はい!」
二人で手をつないで幸せな場所へ。
「大好きです、カラ松さん!」
楽しい時は終わらない。
私はこの不思議な街で、大好きな人と最高に幸せなのであった。
――Happy End――