第2章 二ヶ月目の戦い
でも私はもちろん、飛びついて大喜びでお出迎え。
まとわりついて、うるさく鳴いて、しばらく離れなかった。
ずっと遊んでくれたカラ松さんは、そんな私を笑顔で見ていた。
一松さんも少し微笑み、私を撫でたり遊んでくれたり。
でもその後から、だんだんと一松さんの機嫌が下降していった。
なぜだろう、と私はカラ松さんに身体をこすりつけながら首をかしげる。
カラ松さんはすごく困った顔に見える。弟の機嫌が悪いからであろうか。
え? 何でカラ松さんかって?
だって私をウザがらないし、ずっと遊んでくれるし、何をやっても怒らないし。
だから、一松さんとの再会が一段落した後は、ずーっとカラ松さんにまとわりついてた。
今はカラ松さんの服に潜り込み、全力で喉をゴロゴロ。
一松さんは全身から黒いオーラを立ち上らせる。
『××××……×××××、×××××?』
カラ松さんが私の身体を押し、一松さんの方へやろうと……。
『×××××!! ×××!! ×××××っ!! ×××××!!』
一松さんが立ち上がり、ちゃぶ台をバンと叩き、何やら怒声。
他の兄弟が一斉に、自分のご飯を確保し、ちゃぶ台から遠ざかる。
カラ松さんは、半分怯えたみたいな顔。
でも私のことは守ろうとしてくれるのか、腕で庇っている。
……もしかして一松さん、私がカラ松さんにべったりなのが気に入らない?
いいじゃないの、別に。
カラ松さんのふところから出てきて、そろ~っと一松さんの足にすり寄るが、
『××××! ××××××!!』
うわ怒られた!! すっごく面倒くさいモードに入ってるぞ一松さん!!
子猫に気遣われる大人って、どうなの実際。
他の六つ子は戦々恐々。カラ松さんも困った顔。
一松さんは……。
…………
…………
やっぱり虚無に入ったか。
食事後、一松さんは私の部屋で膝を抱えていた。
い、一松さーん。
『×××××……』
拒まれた。
兄弟げんかで自己嫌悪になる人じゃないし、やはり私が原因なのか。
何度か鳴いてすりすりすると、ようやく頭を撫でてもらえた。
ホッ。
安心して、膝の上に乗ると喉を撫でられた。ゴロゴロゴロ。
全く。ダメな大人だ。