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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第2章 二ヶ月目の戦い



 一足先に食べ終えると、六人のお兄さん方のそばで毛繕い開始。
 全身を丹念に舐め、お顔もちゃんと洗う。もちろんおヒゲも忘れずにね。
 そんな私を、六つ子はちゃぶ台で朝食を取りながらじーっと見てる。
 こっちを指さしヒソヒソと会話を交わしている。

『これ、松奈だよな? 本物の猫じゃないよね?』『元に戻るの?』
『もう完全に猫になりきってない?』的なことを言われてる気がする。
 人間ですって。大丈夫ですよー。

 よっと! 毛繕いを終え、一松さんの膝の上に乗る。
 ちゃぶ台に前足をつき、身体を伸ばす。今日の朝食は何ですか?
 あ、焼き魚だー!!
 え? 速攻で下ろさないで下さいよ。ちょっと前足を伸ばしただけでしょう!!
 一口、一口だけでいいから!! にゃーにゃーと一松さんの膝にすがる。

 ダメ? ケチっ!! あ、ちょっと、手で追い払わないで!! 

 じゃあ誰かくれる人~。にゃーにゃー鳴きながらちゃぶ台の周りをウロウロ。
 全員ダメ? ひどいなあ。にゃーにゃー。

 やがておそ松さんが髪をかきむしり、
『ああ~もう、うるっせえっ!』
『何とかしてよ、一松兄さん!!』
『いや俺に振られても……』
 と思われる会話が交わされている模様。
 またケンカになりそうだったので、人間の知能を持つ子猫はコソコソと部屋のすみに……何か爪がムズムズするなあ。あ、この柱、ちょうど良さそう。

『おい!! 爪研ぎはちゃんと買ってやっただろう!!』
 一松さんが、大慌てで私を柱から離す。市販の爪研ぎの前に置かれた。
 ねー、一松さん、この爪研ぎ、何かしっくり来ないっていうかー。
『文句を言うんじゃない!』
 怒られた。しゅーん。
 それにしても天気が良いなあ。散歩に行ってこようかしら。
 窓枠にジャンプしようとして――。
『こらっ!! ここは二階だっ!!』
 カラ松さんに大慌てで止められる。チョロ松さんが飛んできて高速で鍵をかける。
 ちぇ~、遊びたいな~。
 ん? あの障子、何かうずうずする。

『お、おい、今度は障子が狙われてるぞ!!』
『障子を守れ! 大掃除でもないのに貼り直してられっか!』

 もはや六つ子は食事どころではなかった……。


 一時間後。

 六人のお兄様方はぐったりしていらした。
 私はげっそりしてる一松さんの腕の中で、喉を鳴らしまくり。

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