第2章 二ヶ月目の戦い
「俺たちは家族だ。何か悩みがあるなら、この兄に何でも打ち明けるといい」
「はい、ありがとうございます、カラ松お兄さん!」
悩みが消えたわけじゃないけど、ちょっと心が軽くなる。
いい人たちだなあ。本当にいい人たちだ。
この親切な兄たちに迷惑をかけないように、ちゃんと元の世界に戻らないと。
でも三百万。どう稼ぐかなあ、三百万。
はあ。
ため息をつく私を、他のお兄さんたちは心配そうに見ていた。
あと一松さん、殺意をこめた目でカラ松さんを睨まないで下さい。
…………
次の日、私は河川敷に来ていた。
「イヤミ社長、楽してノーリスクで大金を稼ぐ方法はありませんか?」
「それならミーに任せるざんす! 今注文してる『美少女薬』なら正体がバレることなく美少女に変身出来るざんす!
二人で美少女に変身して、あの残虐な六つ子から金を巻き上げるざんすよ!!」
「よし、それで行きましょう!」
私はグッと親指を立てる。
「へ。本当にいいざんすか?」
遅ればせながら、イヤミ社長がツッコミを入れてくる。
彼はいつにも増してボロボロの格好だ。
うーむ。この親切な社長、先月なぜか暴漢六人に襲われ、ケツにタバスコを入れられ二週間入院したそうな。哀れという他はあるまい。
「いいんです、いいんです」
イヤミ社長に答える。
そう、一晩真剣に悩んで考えついた。
三百万を短期間で簡単に用意する方法。
それは『無職で暇をもてあましている割に、飲み代やパチンコ代やお散歩代は巧妙に捻出する、ろくでもない六人のクズ』から巻き上げることっ!!
「どうせ焼酎やパチンコで金を溶かしてるクズニートの集団なんですから。
少しくらい、真面目に働いてる私たちにも回してもらわないと」
「チミもワルざんすねえ! それじゃあ薬が届いたら、さっそくミーと商売を始めるざんす!」
「コンビ結成ですね。二人で大金を稼ぎましょう!!」
「ウヒョヒョヒョ!!」
と、社長とサムズアップを交わしていると、
『ほほう』
複数人の声がする。