• テキストサイズ

【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第1章 最初の一ヶ月



「ど、どのような心境の変化で?」
 寝起きで危機感を抱くに至らず、呑気に聞く。 
 すると意地の悪い半眼がニッと笑い、

「やっぱり、おまえを買いたくなった」

 ええええええ!! 慌てて部屋を見ると、お酒の缶が何本か開けられていた。
 しまった……アルコールを補給させてしまった!
 でもお酒だけで強硬手段に出る人だったっけか? いや考えてる場合じゃ無い。

 チェックアウト! チェックアウトの時間になってないの!?と焦るが外は真っ暗。
 時計を確認するが、まだまだ夜明けは遠い時間だ。
 そしてお互い無職であるがゆえ、仕事に行く予定もない。
 
 頬を撫でられる。

「嫌、か? 俺も初めてだし……」

 ここ二週間のことを思う。
 最初は警戒されまくり、ずっとつけ回されたり、見張られたり。
 でも気がつけばずっと一緒にいて。
 猫を挟んで二人で会話。
 家に二人しかいないときは、私が料理を作って二人で食べたりもした。
 十四松さんと三人でゲームをしたり、おそ松さんたちと七人でトランプをしたり。
 でも二人で過ごす時間が一番多かった。
 私を一番受け入れていないようで、誰よりも早く受け入れてくれた人。

 お互いに自分に自信がなくて、一人が不安で、あと猫が好きで。
 二人とも、相手に似たものを感じていたのかもしれない。

「嫌じゃ、ないです」

 ただただ、真っ赤になって答える。

「良かった」

 優しく微笑んで、一松さんは私を抱きしめた。


 そして私たちは、初めてキスをした。

 ……でも、やっぱりいざとなると怖いなあ。


「やはり今日は健全に寝て、日を改めてということにしませんか?」
「ダメ」

 即答であった。くそっ!

 そしてまた、服の前ボタンが外されていく。
 頬を冷たい汗が流れる。

「やはりですね! 男女交際は健全に時間をかけて絆を醸成(じょうせい)せねば!
 具体的には毎晩メールなりLI○Eなりで交流を重ねてからですね!」
「え。文通とか交換日記とかじゃなくて?」

 だからっ! あなた本当に本当に平成生まれなんすかっ!?

「ん……」

 前がはだけられ、指が腰のあたりに触れ、変な声が出る。
 もう一度、不慣れにキスをされ、手がゆっくりと上に這っていく。
/ 422ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp