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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第1章 最初の一ヶ月



 いいいいいや、べべべべべ別に!! 
 あんな部屋の風景みたいな人、興味ないっすけど!
 ただその何だ。色々お世話になったから、全く眼中にないみたいな見方をされていた
と分かり、一人勝手に傷ついてただけだ!!

 私だってイケメンが好きだ!!
 一松さんが、大人の美人が好きで何が悪いというのだ!!

 ……。

 はああああああああ……。

 とにかく、お金儲けとか浅はかな考えは止め、地道に働こう。
 そう決め、私は肩を落として部屋に戻っていった。

 …………

 翌日、私は仕事を正式に断るべくイヤミ社長のとこに来ていたの……だが。

「喜ぶざんす!! 最初の注文が入ったざんすよ!
 前払いで料金も二時間分キッチリいただいたざんす!!」

 マジですかよ。しかもお散歩二時間とか。アホだその客。

 イヤミ社長は喜びのあまり、六回転ほどしている。
 しかしどう見ても、その客に対応出来る人員は私一人だ。
 でも断るつもりで来たので、心の準備が出来ているワケが無い。 

「無理無理、完璧に無理ですって!! 色々怖いし、私、受けませんからね!!」

『チェーンジ!』の悪夢がっ!! 絶対嫌だっ!! もうここから逃げるっ!!
 するとイヤミ社長が出っ歯を光らせ、

「大丈夫ざんす! 女の子とろくに手をつないだことのないチェリーどもを連れてきたざんす!
 チミは奴らをしっかりおだてて、オプションで稼いでくるざんす!!」

「いやだから、こんなバイトはしないって……てか『ども』?『奴ら』?
 ……複数っ!?」

『松奈?』

 複数の声がした。

 振り向いた。私は口をあんぐり開けた。

 そこには髪をとかし、おそろいの青スーツでビシッと決めた六つ子がいた。
 私以上に口をあんぐり開け、私を見ていた……。



 で、最初の数秒で半数がイヤミ社長を追いかけていった。

「イヤミ、てめぇーっ!!」
「怪しいと思った! やっぱりおまえか!!」
「金返せっ!!」

 うーん。イヤミ氏と彼らはかなりの腐れ縁だったようだ。
 決して『女の子の水準が思ったより低かった怒り』ではない……と思いたい。

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