第8章 派生④カラ松END
私、カラ松さんと一松さんに挟まれる格好で普通に寝てるけど!!
何で私、松野家の六つ子布団の中にいんの!?
「あああああの、一松さん……猫カフェの彼女は、どうしたんですか?」
「夜中に何でそんなこと聞くの。二時間三分で別れたけど?」
早ぇなっ!!
「カフェで二時間沈黙した挙げ句、脱糞しようとすりゃ、そりゃフラれるって~」
と呆れたようにトド松さん。
むしろ二時間耐えた彼女に拍手を送りたいっ!!
「でさ松奈、クソ松とまだ別れないの? そろそろ目が覚めたでしょ?」
「はああ!?」
頬を染めて手を握るな一松さん。私のことは見限ったんじゃなかったの!?
「は、ハニー、重婚はダメだからな!」
「は? 恋愛は自由だろ。てめえも寝取られる気持ちを味わえよ、クソ松」
ああ、私をめぐって恋の火花が!
「おい、しゃべってないで、もう寝るぞ。明日は決勝なんだからな!」
とおそ松さん。
「あ、はい。そうですね。明日は決勝ですからね。決勝」
……決勝?
そういえば色々思い出してきた。
あれだ。就活中のカラ松さんと家でイチャイチャしていたら、クソ長男が飛び込んで来たんだっけ。
『おい、センバツに選ばれたぞ、俺たち!!』
……『センバツ』に招集しやがった。
そのままなし崩しにアパートを契約解除させられ、松野家に無理やり戻された。
私の帰還は喜ばれた! 一松さんは超元気だった!
それから色々あった! それはもう色々だ!!
私はギリギリまで逃げ回ったが、六つ子に捕まり選手登録された!
一年間の特訓の日々が地獄だった!
だがいよいよ明日で決勝――。
「あの……私、生き残れる自信がないんですが」
「大丈夫大丈夫、来週には生き返るから」
「ああ、それは良かった――って、良いわけあるか! 帰る! 元の世界に帰るー!!」
布団から起き上がり、パジャマ姿のまま逃げようとする。
「松奈が錯乱した!!」
「誰か押さえろ、せっかくの貴重な人間の盾……もといチームメンバーが!!」
「安心しろ、ハニー。俺が命をかけて守ってやる!!」
「嘘つけ!! 誰かぁー!!」
私の絶叫が夜の部屋に響くのであった。
次の日、三回の表あたりで死んだ。
なお翌週には生き返ったので、日常生活に支障はございません☆
で。