• テキストサイズ

【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第8章 派生④カラ松END



「一緒に気持ち良くなろう? 子猫ちゃん」
「もう好きにして下さい……」

 あきらめて言うと、カラ松さんは嬉しそうに笑った。

 で、有言実行された。
 カラ松さんは満足そうだったけど、私は翌日の夕方まで寝る羽目になり、さらに起きた直後にまたヤラれて、すぐお布団に帰還したのであった……。

 …………

 …………

 それから私は、カラ松さんを待って日々を送るようになった。
 ニートな人なので、日課のように通ってくれた。
 私が二人分のお夕飯を作るときもあれば、泊まっていくときもある。

 松野家のことはあまり話に出さないけど、一松さんは元気みたいだ。
 最近は猫カフェ常連の女の子と友達になったらしい。
 今度、一緒に喫茶店に行くそうだ。
 このまま新しい恋に目覚め、立ち直ってくれることを願うばかりだ。
 
 カラ松さんとは、毎日を楽しく過ごした。
 映画館に行ったり、散歩したり、ゲーセンで遊んだり。
 手をつないで一緒に帰れることが、何よりも嬉しかった。
 ただし、私の帰還については――。

 カラ松さんは青空のような笑顔で言い放った。

「心配しないでくれ! 転送装置はとっくに破壊され、修復は不可能になっている。
 もう三百万を用意しても無駄だ。帰れなくて残念だったな、松奈!」

 次の瞬間、カラ松さんは私のパンチを受け、地面にヒビを作ったのであった。

 …………

 かくして、私の帰還ルートもあっさり閉ざされ、私は永久にここに留まる羽目になったのである。
 その他の細かいもろもろも、サイコパス松さんが手際よく片付け、どうにかなっている。
 この人の裏表の落差が、たまに怖くなる私であった。

 そしてバイトをしながら、カラ松さんを待ってのんびり過ごす日がしばらく続いて。

 ある日。

「松奈。俺、今日からここに住むから」

 カラ松さんが私物を持って、アパートに越してきた。
 松野家で何かあったのだろうか。いつも以上に深刻な顔をしていた。
 でも私には深く語らない。

 そのまま、次の日にはスーツを買い、ハローワークに行ったり、履歴書を書いて面接に行く日々が始まった。

 どんな心境の変化があったのかは謎だけど、私はカラ松さんがいてくれるのが嬉しかった。

/ 422ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp