第8章 派生④カラ松END
頸動脈のあたりを舌でなぞられ、一瞬、食いちぎられるかという錯覚。
そしてちゅっとリップ音を立てながら、舌は鎖骨の形をなぞっていく。
カラ松さんの息が胸元にかかり、私は壁に押しつけられたまま。
何をさせられるでもなく、自分がどうすればいいか分からない。
つかカラ松さんが、終始無言でマジ顔なのが怖い。
いつもみたいに痛いことを言って下さいよ。
けど心の祈りも虚しく、カラ松さんは私の服の前ボタンを数個外し、あらわになった胸元に口づけを落とす。
「……ん……っ……!」
犬歯を立てられた。チクリとした痛みに身体がゾクッとする。
血が出るほどでは無いけど、少し赤くなっている。
カラ松さんはもう一つボタンを外し、赤くなったところを舐めている。
うう、だから何でここで……。
「カラ松さん、早く……」
ベッドに行きましょうよ。
そう訴えたつもりだったんだけど、
「……っ!」
上着を一気に引き下ろされ、肩と胸元があらわになる。
いや違うから。行為を急かしたとかじゃないですからっ!
てか、入り口で盛ってコトに及ばないで下さい!
シャワーくらい浴びさせてっ!!
言葉で言っても聞いてもらえない気がしたので、何とか手を振り払い、胸を隠して壁を向いた。精一杯の抗議のつもりだ。
「松奈……」
いや違う!! 耳に戻るなっ!!
また耳を甘噛みしながら、今度はお尻を触りだしてきた。
あーもう。男の人って、何でこういうとこを触りたがるんだろう。
「……っ」
ウェストからスルリと大きな手が入り込む。
下着の上から撫でられ、割れ目を辿られるだけで、カーッと顔が熱くなる。
何だか急に恥ずかしくなり、無意識に足を閉じ、必要以上に必死に胸を隠し、ただこの状況に耐えた。
「どうした? マイハニー。耳が赤いぞ」
だから、低い声で話しかけないで下さい……!
お尻を撫でていた手がさらに下に潜り、さらにギュッと足を閉じてしまう。
「良い子だから」
片腕が前に回ったかと思うと、後ろにグイッと引き寄せられた。
「……やっ……」
前に回された腕は、私の身体を支える――と思いきや、胸を弄りだした。
くすぐるように触れられたり、軽く指先でこすられたり。
初めてなワケじゃないのに、体温がどんどん上がる。