第8章 派生④カラ松END
泣くことないのに、男の人が。でもなぜだか私も涙がこみ上げてくる。
「カラ松さん……」
抱きしめてくるカラ松さんを抱きしめ返す。
カラ松さんからは清潔な石けんの香りがした気がした。
そして、どちらともなく口づけが始まり、すぐにそれは深いものに変わる。
「ん……ん……ぅっ……」
互いに舌を探り合い、唾液を絡め、互いに深く、深く……。
「……ん……や……」
そのまま私は抱擁に溺れ、しばしの時が経ち。
経ち……。
えーと……。
……ちょっと、キスが長くない?
そろそろシャワーに入りたいんですが。
ホテルの炭酸バスとか結構好きなんだけどなー。
思考を飛ばしている間も、カラ松さんは私にキスし続けている。
「……ん……ふ……んんっ……」
いえだから、もうそろそろ良いんじゃないっすか!?
言いたくとも、頭を押さえる力が強くて声が出せない。
いい加減に息継ぎが……あふれた唾液が口の端からこぼれるし。
それとキスをしながら、身体をまさぐり始めないで。
もちろんそのためにホテルに来たんだけど、せめて余裕をもってシャワーに入って、ベッドでゆっくりと! ほら、あなたの好きなバスローブだってあるんだし!
カラ松さんの舌を軽く噛んで、『キスはそのくらいで』と促したつもりだった。
「ん……ぅ……ん~っ!」
いや、逆の意味に取らないで下さい!!
さっきより強い力で抱きしめられ……い、いたたた! この馬鹿力っ!!
息苦しい、息っ!!
殺す気かという勢いで舌を吸われ、唾液を舐め取る勢いで口内を荒らされる。
「カラま、つさ……苦し……っ!」
手を突っ張って身体を引き離すが、唾液をぬぐう暇もない。
「ちょっと……ひっ……」
今度は耳を責めだした。
耳! 耳止めてっ!! そこ、マジでダメですからっ!!
逃げようとしたけれど万力のごとき腕力で、とても引き離せない。
「マイハニー……」
間近で聞こえる低い声。それとともに、耳たぶを軽くはまれ、丹念に舐められる。
耳にかかるカラ松さんの吐息と大きな舌の感触。
「ん……んんっ……」
まだ身体にろくに触れられてないのに、顔が熱い。
舌は丁寧に耳を舐め回し、それからゆっくりと首筋へ移動する。