第8章 派生④カラ松END
「さて、ここでラストですね」
掃除機を持って六つ子の部屋に入った。
やれやれ。今日も散らかっている。
何しろ男六人がダベっている部屋だ、ゴミの量も多い。
本当は一日二回掃除機をかけたいくらいだ。
「全く……」
私はブツブツ言いながら、大きなゴミを片付けだした。
読み散らかした漫画、出しっぱなしの野球ゲーム、麻雀の点棒、菓子の空き袋、丸めたティッシュ、丸めたティッシュ、また丸めたティッシュ……男め。
「エロ本くらい片付けて下さいよ。私が掃除に入るって知ってるでしょうが!」
ソファの下に放置された成人雑誌を見つけ、げんなりする。『生パンティ付き』とか、意味分からん。
でも好奇心からペラペラめくる。い、いや、興味はないけど! 一松さんとのえーと、アレに参考になるかなーとかっ!!
やっぱ際どい下着とかって興奮するのかなあ。そういえば、一松さんに猫耳コスでのプレイをほのめかされたことがあったっけなあ。やっぱり受けてあげようかなあ。
過激な内容に顔を真っ赤にしつつ、ふむふむと読んでしまう。
「ん?」
雑誌の間から何かがハラリと落ちた。
何だろ。付録のH写真とか? ちょっぴりドキドキしながら拾ってみた。
「…………え?」
私の写真だ。エプロンをして台所に立っている私。斜め後ろから撮られていた。
もしかして一松さん? やだなあ~。
私の写真がご所望なら言ってくれればいいのに♪
ニヤけかけたのは一瞬。私は即時、真顔になる。
一松さんの、じゃないよね。
だって毎日顔をつきあわせてるし、こんな色気のない写真に頼らなくても、しょっちゅう『無修正』を見てるでしょう。コホン、お下品で失礼。
そもそもこんな写真の撮影を許可した覚えはない。と、盗撮? 怖っ!
まさか、この写真の持ち主……いや『使用者』は一松さんではなく……。
私は高速でエロ本の間に写真を挟むと、本棚の裏にエロ本をぶっ込んだ。
無職集団め。私が貴様らの宝物の隠し場所を、把握してないと思うか。
次から、六つ子の部屋の掃除は六つ子にまかせよう。
そう決意し、速攻で掃除機をかけると部屋から出た。
…………
家事が終わっても一松さんが帰ってくる気配はない。
なので私は、ちょっと前から考えていたことを実行することにした。