第8章 派生④カラ松END
……いや、さすがにそろそろ限界なんですが。
実際にそう言った気もするし、態度で訴えたつもりでもある。
「はあ……松奈……可愛……もっと君が……、欲し……」
「カラ、松さん……や……あ、あっ……ひっ……だめ……」
それでも押され、私もつい流される。
もう互いの服なんてそこらに放られ、研究所内も薄暗くなり、体液とゴムの散乱するただれた場所で、私たちはただ愛し合った。
「……松奈……終わり、たくない……俺は、君が……」
そして何度目かに達され、私はぼんやりした頭の中で思った。
ああ、前にもこれと同じようなことがあったっけ……。
その後は落ちてしまい、覚えていない。
湯を張った暖かいバスタブの中でカラ松さんに抱きしめられ、何度もキスをされたことが、ぼんやりと記憶に残るのみである。
「松奈……」
切なそうに言われ、振り向かされ、そして私たちは目を閉じてキスをした。
…………
…………
月の出る土手の上を、カラ松さんに背負われ帰って行く。
「すまない。本当にすまない、松奈……俺は……最低な男だ」
さっきからずーっと、ずーっと、そればっかりを繰り返している。
研究所の一件に加え、以前私にしたことを、私が思い出したせいもある。
以前に私をだまし、ホテルに連れ込んだことだ。
カラ松さんの落ち込みようは半端ない。
それに対し、激怒すべき立場の私は、
「まあ、だまされた私も悪かったし、さっきも本気で抵抗しなかったですし……」
軽い返答をする私に、
「松奈。おかしくないか? おかしいだろう。君はもっと俺を怒るべきだ!」
「タバスコの目薬と、タバスコの座薬、どちらがお好みですか?」
「……えと、ええと……」
真面目に考えないでいただきたい。
「カラ松さん、もう歩けますよ」
と、カラ松さんの背中から下りる。
そして眉毛の鋭い、一松さんと同じ顔の人を見上げ、
「私たち、別々の場所で遊んでたってことにして、別々に帰りましょう」
目を見開くカラ松さんに、
「お互いに、この件は忘れましょう。私は怒ってませんし、誰かに訴えたりしません」
じゃあ、と背を向けようとすると、
「松奈っ!!」
後ろから抱きしめられた。