第8章 派生④カラ松END
「松奈……頼むから……!!」
カラ松さんは自分で自分を殴り、外に逃げろと懇願している。
「カラ松さんっ!! 止めて!!」
「俺は……こんなこと、したくない!!
……いいんだ。俺は、見ているだけで、幸せ、だった……!!」
もう話の内容が支離滅裂だ。見捨てるなんて出来ない。
「カラ松さん、私がそばにいるから落ち着いて!」
殴られるかもしれないと思ったけど、私は踏みとどまった。
クマのぬいぐるみ、草原、大きな木。手伝ってくれる頼もしい笑顔。
こ、怖くない。大丈夫。何があっても見捨てたりしない!
恐怖をおしてカラ松さんを抱きしめた。
私の手がカラ松さんの頬に触れる。
カラ松さんがビクッと身体を震わせた。
「そばにいます。だって私、カラ松さんが大好きだから!」
そのとき。プツリと何かが切れた音がした――気がした。
「いやだ……松奈……逃げ……」
カラ松さんの目から一筋の涙が流れ、そして目から理性の光が消える。
殴られる? 蹴られる? 殺される?
私は本能的な恐怖に怯えながら、抱きしめ続けた。
「……っ!!」
次の瞬間に、抱きしめられ、キスをされた。
『薬品名:気持ち薬Ex
効能:服用者の心の奥底の願望を実行に移させます』
…………
…………
研究所で変な薬を吸ってしまい、カラ松さんはおかしくなってしまった。
今、私は床に押し倒され、激しいキスをされている。
「カラ松さん、止めて下さい!! 私です、松奈ですから……ん……!!」
叫んでも叩いても、カラ松さんは変わらない。
正気を失った獣のまなざしで、貪るような口づけを落としてくる。
もはやキスを通り越し、舌を食われるんじゃないかという勢いだ。
唇を押しつけ、舌を貪り、息継ぎもままならないくらい絡めてくる。
何とか顔を離そうとするも、手で頭を固定され、さらに押しつけられる。
「ん……んぅ……ふ……っ……ん……」
手で突っ張ろうとしたが、カラ松さんの頑丈さは、片付けのときに見ている。
まして薬でおかしくなっている。
離れようという努力は、逆に身体をより強く密着させただけだった。
腕力は言うまでも無し。絞め殺すつもりかというくらい全力で抱きしめてくる。