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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第8章 派生④カラ松END


「松奈……頼むから……!!」
 カラ松さんは自分で自分を殴り、外に逃げろと懇願している。
「カラ松さんっ!! 止めて!!」

「俺は……こんなこと、したくない!!
 ……いいんだ。俺は、見ているだけで、幸せ、だった……!!」

 もう話の内容が支離滅裂だ。見捨てるなんて出来ない。

「カラ松さん、私がそばにいるから落ち着いて!」

 殴られるかもしれないと思ったけど、私は踏みとどまった。

 クマのぬいぐるみ、草原、大きな木。手伝ってくれる頼もしい笑顔。
 こ、怖くない。大丈夫。何があっても見捨てたりしない!

 恐怖をおしてカラ松さんを抱きしめた。

 私の手がカラ松さんの頬に触れる。
 カラ松さんがビクッと身体を震わせた。

「そばにいます。だって私、カラ松さんが大好きだから!」

 そのとき。プツリと何かが切れた音がした――気がした。

「いやだ……松奈……逃げ……」


 カラ松さんの目から一筋の涙が流れ、そして目から理性の光が消える。


 殴られる? 蹴られる? 殺される?
 私は本能的な恐怖に怯えながら、抱きしめ続けた。

「……っ!!」


 次の瞬間に、抱きしめられ、キスをされた。



『薬品名:気持ち薬Ex
 効能:服用者の心の奥底の願望を実行に移させます』

 …………

 …………

 研究所で変な薬を吸ってしまい、カラ松さんはおかしくなってしまった。
 今、私は床に押し倒され、激しいキスをされている。

「カラ松さん、止めて下さい!! 私です、松奈ですから……ん……!!」

 叫んでも叩いても、カラ松さんは変わらない。
 正気を失った獣のまなざしで、貪るような口づけを落としてくる。
 もはやキスを通り越し、舌を食われるんじゃないかという勢いだ。
 唇を押しつけ、舌を貪り、息継ぎもままならないくらい絡めてくる。
 何とか顔を離そうとするも、手で頭を固定され、さらに押しつけられる。

「ん……んぅ……ふ……っ……ん……」
 手で突っ張ろうとしたが、カラ松さんの頑丈さは、片付けのときに見ている。
 まして薬でおかしくなっている。

 離れようという努力は、逆に身体をより強く密着させただけだった。
 腕力は言うまでも無し。絞め殺すつもりかというくらい全力で抱きしめてくる。
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