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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第8章 派生④カラ松END




「……分かった。じゃあ俺がついていこう。それなら安心だろう?」

 余計に不安です。

 …………

「マイキティ。この荷物はここにまとめておこう」
「それは俺がやる。子猫ちゃんは軽いものだけでいい」
「疲れたか? 遠慮無く休むといい。俺か? この程度で疲れる男ではない」

 ……実際に片付けを始めると、カラ松さんの有能っぷりがハンパなかった。

 一松さん以上に体力があり、ガテン系の素質があるのか、やることに無駄が無い。
 ぶっちゃけ、私と一松さんで作業をするより、カラ松さん一人でやる方が早いくらい。

「カラ松さん、すごいです!」
「それ、一人でやっちゃうんですか? 尊敬です!」
「カッコいいです、カラ松さん!」
 ついつい賞賛の言葉も増える。

「そ、そうか? フッ。この程度の作業、ワケはない」
 カラ松さんはお顔を真っ赤にし、ますます張り切って作業をする。
 
 いかんいかん。男性に頼り切りになってないで、私も動かねば。

「じ、じゃあ、私はこっちの部屋をやってますね」
 と、ある部屋の扉を開けた。そして中の惨状に呆れる。

「うわー。この部屋もひどいですよ、割れた薬瓶だらけです」
 ここは薬品室の一つみたいだ。
 ほとんどの薬は持ち去られ、今頃ネットで高額取引されてるんだろう。
 床は割れた薬瓶が散乱し、ぐちゃぐちゃだ。
 中に入ろうとすると。

「松奈っ!!」

「わっ!!」
 
 部屋の外に突き飛ばされ、尻もちをつくところだった。
 見上げると、カラ松さんが冷や汗をかいて、私の前に立っていた。
「カラ松さん、何をするんです」
「それはこちらの台詞だ、子猫ちゃん! ここの片付けだけは博士に任せた方がいい」
「何でですか? 別に危険じゃないですよ」
 するとカラ松さんは足下の薬瓶を取る。
 瓶にはヒビが入っているが、中のピンクの気体はまだ残っている。

 ん? 気体?

 カラ松さんは眉の角度を鋭くして、

「この薬なんか中身が気化してしまっている。
 片付けの間に、猛毒の薬品や気体に触れてしまうかもしれない。松奈がそんなことになったら俺は――」

「え? ちょっと、カラ松さん! そんなに手に力を入れると――!」

 パリンっ!

 あーあ、割れちゃった。瓶の破片が手から落ちる。

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