第8章 派生④カラ松END
ショックを受けて、フラフラと廊下に出る。
するとパジャマ姿の六つ子も、ぞろぞろと部屋から出てくるところだった。
相変わらず同じ服だと見分けが難しくなる。
「あれ? 松奈、寝坊? 珍しいね」
「てことは、朝メシはまだ作ってないんだ」
「どうする? 皆でどっか食べにいく?」
ワイワイガヤガヤ。同じ顔で同じパジャマで、全員寝起きのボサボサ頭。
でも不思議と一松さんとカラ松さんのことだけは分かる。
……ズキンと罪悪感が。
そんな私を一松さんは心配そうに見下ろし、
「松奈? どうしたの? もしかして座薬の中身をタバスコに変えてみたけど間違って自分で差しちゃったの?」
「何でオチまで出来上がってるんですか!! せめて目薬と言って下さいっ!!」
「松奈にタバスコの目薬とタバスコの座薬の、どちらかを選べと迫られる……」
「いや一松さん! どういう状況になったら、私がそんな地獄の二択を迫るんです!
おズボンの前部分を押さえつつハァハァ言わないで! マジ怖ぇ!」
恋人の内なる性癖に不安を感じつつ、朝の時間はにぎやかに過ぎていく。
「ん?」
ジーッと見られてる気がして、そちらを見た。
「!!」
カラ松さんである。離れた場所から見ていた。私と目が合うと、
「あー。おはよう、子猫ちゃん」
ぎこちなく笑う。
まただ。また、心が痛い。ズキズキする。
何で私、カラ松さんに罪悪感を抱いてるかなあ。
自覚しないようにはしてきたんだけど、最近、カラ松さんを見ると心がズキズキ痛む。
とても悪いことをしているような気分になるのだ。
「…………」
ついでに夢見まで思い出し、苦い顔。するとカラ松さんは慌てたように、
「ど、どうした? マイキティ! 俺は何か君の機嫌を損ねるようなことでもしたのか!?」
慌てて駆け寄ってくる。
カラ松さんの態度も少し変わった気がする。
私から距離を取ったかと思うと、こんな風にすごく気にかける感じだったり、あとすぐに顔を赤くしたりする。
自意識過剰かな、私。ライジングしてるのかなー。