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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第8章 派生④カラ松END



『何だよ……やっぱり俺よりクソ松の方がいいってのかよ!!』 
『デートなんか、そこのクソ松と行ってりゃいいだろ!!』
『知ってるんだよ、昨日のことも! 後生大事に、あいつからもらったオモチャを
持って、気持ち悪いんだよ!!』
『この×××!! ×××!! ×××××!!』
 
 一部省略。本当はもっとひどいことをたくさん言われた。
 でも、そのときはあまり傷つかなかった。

 カラ松さんに一松さんコスをさせた昨日のデートは、むしろ気づいてほしいものだった。
 それに私を罵るときの一松さんの目は、とても苦しそうだった。

『違う違う違う』『こんなこと言いたくない』『何で止められないの』『お願いだから、誰か止めて』
 という心の叫びがダダ漏れであった。

 しかし実際問題、どうすれば一松さんを止められるのか。
『ね、落ち着きましょうよ一松さん。お兄さん達も困ってますよ!』
 まあまあ、となだめようとした。
『一松さん。朝からテンション上がりすぎですよ~。
 じゃあ正直に言ってあげますよ。すごくデートしたいんです。デートして下さい!』

 それは確かな本音だった。

 少し前みたいな関係に戻りたい。
 一緒に笑いあって、路地裏で猫をかまったり、ゲーセンで負けて呆れられたりしたい。
 そんな日々を取り戻したいと。そう願っていた。

 でも、なぜそうじゃ無くなってしまったんだろうか。

『一松さん。ね、お兄さんたちも心配してますよ』
 私は一松さんの腕を取ろうとして。

 瞬間。

『うちに土足で上がり込んでる他人のクセに、家族面してんじゃねえよ!!』

 後頭部に衝撃。視界に火花が散る。
 壁に頭をぶつけたらしい。
 腕をはらわれ、力任せに突き飛ばされたんだと、一瞬遅れて気づいた。


『松奈っ!!』

 カラ松さんが私の無事を確かめる。
 四男を押さえようと、飛びかかる他四人。
 カラ松さんに再度殴りかかる一松さん。
 その後のことは、よく覚えていない。

 そしてさっきのシーンに戻る。

 二人はケンカの末、出て行った。

 私は死んだみたいに横になっていた。

 …………

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