第8章 派生④カラ松END
『何だよ……やっぱり俺よりクソ松の方がいいってのかよ!!』
『デートなんか、そこのクソ松と行ってりゃいいだろ!!』
『知ってるんだよ、昨日のことも! 後生大事に、あいつからもらったオモチャを
持って、気持ち悪いんだよ!!』
『この×××!! ×××!! ×××××!!』
一部省略。本当はもっとひどいことをたくさん言われた。
でも、そのときはあまり傷つかなかった。
カラ松さんに一松さんコスをさせた昨日のデートは、むしろ気づいてほしいものだった。
それに私を罵るときの一松さんの目は、とても苦しそうだった。
『違う違う違う』『こんなこと言いたくない』『何で止められないの』『お願いだから、誰か止めて』
という心の叫びがダダ漏れであった。
しかし実際問題、どうすれば一松さんを止められるのか。
『ね、落ち着きましょうよ一松さん。お兄さん達も困ってますよ!』
まあまあ、となだめようとした。
『一松さん。朝からテンション上がりすぎですよ~。
じゃあ正直に言ってあげますよ。すごくデートしたいんです。デートして下さい!』
それは確かな本音だった。
少し前みたいな関係に戻りたい。
一緒に笑いあって、路地裏で猫をかまったり、ゲーセンで負けて呆れられたりしたい。
そんな日々を取り戻したいと。そう願っていた。
でも、なぜそうじゃ無くなってしまったんだろうか。
『一松さん。ね、お兄さんたちも心配してますよ』
私は一松さんの腕を取ろうとして。
瞬間。
『うちに土足で上がり込んでる他人のクセに、家族面してんじゃねえよ!!』
後頭部に衝撃。視界に火花が散る。
壁に頭をぶつけたらしい。
腕をはらわれ、力任せに突き飛ばされたんだと、一瞬遅れて気づいた。
『松奈っ!!』
カラ松さんが私の無事を確かめる。
四男を押さえようと、飛びかかる他四人。
カラ松さんに再度殴りかかる一松さん。
その後のことは、よく覚えていない。
そしてさっきのシーンに戻る。
二人はケンカの末、出て行った。
私は死んだみたいに横になっていた。
…………