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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第8章 派生④カラ松END



「いいじゃないですか。形に残ると何かマズいんですか?」
 一松さんに見せても、何も問題ないというのに。

 しかしカラ松さんは笑う。

「俺が、辛いんだ」

 相変わらず、意味がよく分からん。
 一松さんから八つ当たりを受けて辛いということかな?
 私に八つ当たりはしても、カラ松さんに八つ当たりをするんだろうか?

 まあ、本人が嫌なら、強制するのも悪いか。

 プリクラはあきらめることにした。

「じゃ、行きましょうか」
 カラ松さんの手を取る。彼はホッとしたように、
「そうだな。マイキティ。そろそろ日暮れだ」
 握り返してくる手が、ちょっと湿っている気がした。

 …………

「今日は楽しかったですね」
 夕暮れの川辺を、二人で歩いて帰る。
 片手にはゲーセンのクマちゃんを大事に抱え。
「マイエンジェルの気が晴れたのなら、何よりだ。
 俺も一松に言っておくよ。松奈と早く仲直りするように」

 ……失礼だと百も承知だが、次兄といえど、カラ松さんの言うことに耳を貸す一松さんだろうか。
 仲介役を頼むなら、やはりおそ松さんが――さっき死んだから無理だな。
 かといってチョロ松さんも弱い気がするし、弟お二人も無理でしょうな。
 となるとカラ松さん……なのかな。
 自信ありげだし、頼んじゃっていいんだろうか。

「では、お願いします。カラ松お兄さん」

「ああ! この兄に任せておけ!」

 紫のパーカーを着たカラ松さんは、誇らしげに胸を叩いた。

 しかし日暮れでちょっと視界が悪い。
 同じ顔で、パーカー姿だと、やはり一松さんとちょっと被るかも。
 あ、そうだ。

「カラ松お兄さん、カラ松お兄さん。一松さんと仲直りするとき、どう言えば……えーと、その、か、可愛く見えますかね?」

 うわー。あざとい言い方だなー。

「何を言っている。子猫ちゃんはいつも可愛いぞ!!」

 いや、だからレンタル彼氏なサービストークでは無くてね。

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