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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第8章 派生④カラ松END



 私は、なじみの猫を撫でくり回して立ち上がる。
「子猫ちゃん。次はどこに行くんだ?」
「んー、ゲーセンですかね?」
「任せろ! 子猫ちゃんのために、極上の景品を取ってやるからな!」
 とっとと演技を忘れたカラ松さんに、私は苦笑したのだった。


 ゲーセンではカラ松さんはうるさかった。
「くっ! この! ああ、また落ちた! ワンスモアだ!」
 場所はクマのぬいぐるみのUFOキャッチャー前。
 私がクマを見て軽い気持ちで『可愛い』と言ってしまったのが悪かった。
 おかげで、カラ松さんはUFOキャッチャーにカモられている。

「行きましょうよ。もういいですって。お金がもったいないし」
「いやまだだ。マイキティのために――あっ!」
「ですから私は……あっ!」
 カラ松さんが取ろうと奮闘していたクマのぬいぐるみ。
 ついに、アームががっちりつかんで……穴に落ちた。
「やったー!!」
「フッ! ついに恋の女神が俺に微笑んだようだな!」
 クマさんのぬいぐるみを、得意そうに渡してきたのであった。
「ありがとう、カラ松お兄さん!」
 あ、名前を呼んじゃったけど、もういいか。
「マイエンジェルが喜んでくれて何よりだ」
 前髪をかき上げ、笑ったのであった。

 
 その後も、二人で音ゲーをやったりFPSをやったり。
 しかしカラ松さんも最近のアーケードゲームには疎いらしい。

 腕前は、どれもこれもド下手であったけど、
『松奈はゲームが上手いんだな!』『よく分からないが松奈が楽しんでる姿を見るだけで、俺も楽しいぞ!』と、レンタル彼氏設定は忘れてないのか、何かと私をおだててくる。
「マイキティ、今度はあのゲームをやってみよう!」
 目をキラキラさせて私とゲーセンを楽しんだ。

 そして私はプリクラのコーナーで立ち止まる。

「あ……」
 カラ松さんは意図を察して、超真っ赤。もちろん私は、

「ね、一緒に撮りましょうよ!」
 いい笑顔で腕を引っ張って、コーナーに入ろうとする。けど。
「い、いや、それはダメだ!」
 カラ松さんはキッパリと言った。
「ええ? 一松さんっぽいカラ松お兄さんと撮ってみたいんです」

「恋人との写真は、本物の一松と撮るといい。写真にすると、形が残ってしまうからダメだ」

 プリクラではなく写真と言うあたりが、ちと古いな。

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