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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第7章 派生③おそ松&チョロ松END


 …………

 恐る恐る扉を開けると、お酒の匂いがムワッと鼻腔を刺激する。
 店内は薄暗いのに、照明はやけにキラキラしている。
 カウンターには高級酒の棚と、こなれた感じのバーテンダー。

「松奈ー」
「こっちこっち!!」

 そこから手を振るのは、青スーツを着た馬鹿二人。

 私は未成年に見えませんようにと祈りながら、おそ松さんの横に腰掛ける。

「ちゃんと来れた? 心配だから、迎えに行こうかと思ってたんだ」

 反対側の席に座り直すチョロ松さん。
 一見、男性二人に接待される美味しい状況だが、状況は最悪だ。

「あ、来た来た。それじゃ、二人ともお疲れー。かんぱーい!」

 二人の男性の前にはお酒、私の前にはきれいな色のノンアルコールカクテルだった。

「いやお疲れも何も、三人とも働いてないでしょう」

 乾杯を無視し、カクテルを飲む。甘ったる!
 ちなみに私の呪いに関わらず、競艇は大勝ちだったそうな。
 だからこんな店にも来れてるし、店から電話で私を誘い出せた。
 あのとき、つくづく電話を取ってしまったことが悔やまれる。

 そんな誘い、断れば良かったって?
 いや関係を絶つに当たって、写真消去の件はどうしても聞かなければいけない。

 苦渋の決断で、誘いに応じることにしたのだ。

「働いてなくても、疲れてるだろ? 松奈は」

 おそ松さんは何やらグラスに入った酒をあおり、ニヤニヤ。
 うん。私はデートで疲れている。主に身体が。

 一松さん。二人で出かけるのが久しぶりだからって、何もあんな場所で……。
 オマケに嫉妬が入ってたせいか、いつもより――コホン、失礼。

「で、こんなところに呼び出して、お二人とも何の用です?」

 私は冷たく言う。一松さんとの誤解も解けた。
 もう二度と、この二人に関わり合いたくない。
 するとおそ松さんは嬉しそうに、

「うん。一松と別れてさ、正式に俺たちとつきあってよ!」


 俺『たち』……。

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