第7章 派生③おそ松&チョロ松END
「松奈~。もしかして、お兄ちゃんを誘ってる?」
「……て、布団に入ってこないで下さいよ!
私の部屋自体にも勝手に入ってこないで!!」
相変わらず空気読まないな、長男っ!! 身体を触るなっ!!
「おそ松兄さん、何やってんの。皆、先に行っちゃったよ?」
そしてふすまを開け、チョロ松さんが入ってきた。
「おう、チョロ松! 松奈が一人で寝るのは寂しいってさ!」
「言ってませんよ!」
のしかかるおそ松さんに必死に抵抗しながら言う。
本当にいい加減にして、と涙目だ。
「ん?」
チョロ松さんがぐいっと、おそ松さんの肩を引っ張って引きはがした。
「おそ松兄さん。嫌がるのを無理強いするもんじゃないだろ。休ませてあげないと」
「ええ? 何、マジになってんの? ちょっとくらいイイだろ?」
「何で俺に聞くの。松奈が嫌がってるんだよ? それ、犯罪だからね?」
強い口調で言う。私は布団に横になりながら、少し驚いていた。
そして思う。
あ ん た が 言 う な 。
「ほらほら、おそ松兄さん。ふざけてないで行って行って」
チョロ松さんの強い口調に、ようやくあきらめたらしい。
「松奈~。また遊んでよ。絶対だからねー!」
未練たらたらで、おそ松さんは部屋から出て行った。
私は安心してホーッと息を吐いた。
でもまだチョロ松さんが残っていることに気づき、身をすくめる。
チョロ松さんは布団の脇にかがみ、
「あの、さ……松奈。昨日は……」
『ごめん』と言いかけ、口を閉じる。そして言った。
「約束は守るよ。おそ松兄さんに、あまりひどいことをしないよう説得する。
写真もちゃんと消去させるから」
「え……」
いったいどういう心境の変化だとポカーンとする。
チョロ松さんの顔が近づき、唇が重なった。
「わっ!」
そのままチョロ松さんが私の両脇に手をつき、覆い被さる。
でもそれ以上のことはしない。
触れるくらい顔を近づけ、
「俺、松奈が好きだから。だから松奈が好きな一松とのことは応援するよ。
でも二人が別れたり、一松が松奈にひどいことをするようだったら……」
私を見下ろした顔は、同じ人と思えないほど険しかった。
「俺たちが……俺が、松奈をもらうから」