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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第1章 最初の一ヶ月



 私たちは畳の上に並んで正座させられ、延々とお説教を食らった。
「全く!! 嫁入り前の娘が深夜まで遊び歩くとは何ごとですか!!
 何もなかったから良いようなものの! 何かあったらどうするつもりだったの!!」
 ガミガミガミガミ。しかし私はともかく、一松さんたちはとばっちりだ。私はつい、
「あ、あの、松代さ――」
「親に向かってその口の利き方はなんです!! 母親のことは『お母さん』と呼びなさい!!」
「は、はいお母さん!」
 するとお母様は一呼吸置き、ちょっとだけ柔らかな表情で、

「良い子だと思ってもらいたくて、猫を被ろうとしてたんでしょう?
 すぐにボロが出ちゃうところは、兄さん達とそっくりねえ」

 そしてお母様の横で座っているお父様が、
「まあまあ母さん。松奈も反省しているようだし、これくらいにしてあげようじゃないか」
「そうね。お父さんがそう仰るなら……松奈! もう夜遊びしないと約束するわね!?」
「はいっ、お母さん!!」
「よろしい。では――おまえ達!」
『はいっ!』
 ニートたちは一斉に答える。

「おまえ達も、働かないでブラブラしてるんだから、妹の面倒くらいちゃんと見なさい!
 次に松奈が夜遊びしたり、インベーダー喫茶やディスコに出入りしたりするようだったら、お小遣いを減らしますからね!!」
 ディスコ!? 昭和っ!?
『は~い!』
 と、声がそろう。それでお説教は終わりらしい。
 解散モードになり、皆、次々に立ち上がる。
 うっ!! あ、足がしびれ……!!
「ほら」
 と、一松さんが支えてくれた。

「松奈」
 とお母様が障子を開けながら仰った。

「家のお手伝いも無理しないで、出来る範囲でいいのよ。
 六人養うのも七人養うのも同じなんだから、もっと遊んでなさい」

 と言ってお父様と一緒に自室に戻っていった。

「はあ、早く終わって良かった~」
「寝よう寝よう。松奈を捜して疲れたし」
 皆さんも自室に戻る様子だ。
「あの……」
 私はつい声をかけた。
 けどおそ松さんが振り向いて笑う。

「松奈。次に夜遊びするときは、俺たちも誘ってくれよ。
 兄貴を放って一人だけ遊ぶなんて、ずるいじゃないか」

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