第7章 派生③おそ松&チョロ松END
「ちょ……っ……」
抗議しようとしたが、逃げられないほど強く抱きしめられただけ。
抵抗しようとしたけど手で顔を押さえられ、口を割られ、舌をねじこまれる。
壁に背を押しつけられ、ほぼ力任せのキスをされた。
……てか、息継ぎが……どれだけ舐めてくるの……苦し……。
「ゴホッ、ゲホッ……」
やっと解放され、よだれをぬぐい、空気を吸って盛大に咳き込む。
「あ。ごめんごめん。大丈夫?」
背中をさすってくるけど、親切だと思いたくもない。
「何するんですか! 私は一松さんの恋人ですよ!?」
涙目で恨みがましく見上げると、敵はポケットに手を突っ込み、
「でも俺とチョロ松とも寝たでしょ?」
何を包み隠すことも無く、そのものズバリと言ってきた。
一松さんが最近冷たいのは、そのせいもあるかもしれない。
私の罪悪感が態度に出てしまうこと、おそ松さんが妙に私に馴れ馴れしいこと。
私と一松さんの仲は冷え込む一方だ。
「……っ!! あ、あれはそっちの方から……!!」
三人で全てを忘れるということにして、それきりだったはず。
「でも松奈も悦んでたし、すっげえ可愛かったよ?
チョロ松なんか未だにオカズにしてるくらいだし」
「……っ……!」
どう反応すればいいんだコレ。
「あれは合意の上じゃないし、私には一松さんがいます!」
おそ松さんは悪のりがすぎるけど、本来はいい人だ。
私が強く言えばちゃんと――。
「別に結婚してるわけじゃないしさあ、別れて俺に乗り換えればいいじゃん。
俺、あいつと違って、イケてる彼氏になると思うよ?」
悪びれない。罪悪感を一切感じてない。そもそも話が通じない。
焦りの汗が頬をつたう。ちょっと、不味い状況かも。
「松奈~。お兄ちゃんと遊ぼうよ!」
おそ松さんが腕を引っ張ってくる。
「離して下さい!」
強く言って、拒否を示す。
「私、買い物がありますから!」
「じゃあ、荷物持ちをしてあげる!」
一松さんと違って、彼には不純な動機しか感じない。
もうこの家にいること自体が危険だ。
しかし古い家屋の悲しさ。この家には鍵のかかる部屋がほとんどない。