第7章 派生③おそ松&チョロ松END
「で、××回くらいデートを頼み続けたら、やっと一晩エスコートしてほしいって!」
「一松に先を越されたけど、ようやく俺たちも卒業出来そうだよ!」
もはや犯罪の臭いしかしねえ!!
サクラの女性達と会わせちゃダメだ!!
お世話になっているご恩返しに、松野家の金は――じゃない、二人のお兄さんは、必ず私が守る!!
私は手の中の小瓶を握りしめる。中には錠剤が数錠入っている。
イヤミ社長が渋々言ったことには、最近の生活費は女性から貢がれているらしい。
だがイヤミ社長はホー○レス。ニート以上に、恋愛はナイトメアモードだ。
いったいなぜ!?
『なけなしの金で買ったざんすよ、最初に見た相手に夢中になる薬を!!』
……便利すぎる通販だなあ。まあ、デカパン博士の研究所から盗まれた物が、ネットに流通してんだろう。再会したとき教えてあげようっと。
それはさておき。
「ええ? 一緒に行きたい? それはダメだよ。大人のデートなんだよ?」
「妹同伴はさすがにちょっと……ごめんね。今度一緒に遊んであげるから」
くう!! 難易度が高い。お相手の飲み物に薬を入れられたら、馬の骨は遠慮無く退散しますとも!
その後で二人が卒業しようが、何をしようが知ったこっちゃない。
私は粘った。
「大人の入るお店に興味があるんです!!
ね、入るだけ! ジュースを一杯飲んだらすぐ帰りますから!!」
しつこい私に、二人はうーんと互いの目を見交わし、
「……雰囲気だけ楽しんだらすぐに帰るんだよ?」
「ちゃんと一松に電話して迎えに来てもらうこと。いいね?」
よっしゃー!!
…………
…………
×時間後。外はすっかり暗くなっていた。
おそ松さんは電話口で笑っている。
「あ~ごっめーん。散々探してたって? いや松奈とチョロ松と暇つぶしに映画に行ったら一作目から上映しててさー。せっかくだから最初から観ようって話になって。
で、終電すぎそうなんで、ネットカフェに三人で泊まってくから…………そんなに怒るなよ。
……あー、はいはい。大丈夫大丈夫…………了解了解~。じゃ、おやすみー!」
よくもまあ、嘘がペラペラと……。