第6章 派生②一松&十四松END
…………
「断固拒否します」
上半身にシャツだけ引っかけた私は、一松さんの横に座って、彼の腕にすがっている。
そして目の前のイカれた五男を冷たく見やった。
「松奈~」
十四松さんは下半身を出したまま。
半勃ちのモノをズボンからのぞかせたまま正座し、情けない顔。
「松奈、お願いだから~」
誰が許すか。人の顔に何つうもんを放出してんですか。あー、まだ臭うかも。
一方、欲望を解放した一松さんは事後モードに突入したのか、すっごく穏やかな顔で私をはべらせている。
私の裸の腰を抱き、正妻(!?)の余裕で、
「ヤラせてあげれば? まあ確かに早かったけど、松奈に興奮してただけなんだし」
「いや、早かった点に怒ったわけではないですからね!?」
「俺にヤラせて、十四松にヤラせないって不公平だし。いいじゃない」
「…………」
「松奈ー」
十四松さんは股間を持ち上げたまま、期待の目。
はあ。何でこんなことになったんだ。
元々私と一松さんはラブラブな恋人同士であった。
でも私が元の世界に帰ると表明したあたりから、こじれ出した。
そして一松さんは、自分一人では私を束縛出来ないと判断。
何と、味方として十四松さんを引き込んでしまったのだ。
十四松さんがこのことをどう思っているのかは謎。
私への恋愛感情があるかと言えば、多分無いだろう。
でも性欲を持てあましていることだけは事実。
そして彼は一松さんを大事にする、兄思いの弟でもある。
そういうわけで、十四松さんは自分から喜んで利用されていた。
しかし私はたまったもんじゃない。
色々疲れるしアレだし、道具的に扱われてる感がぬぐえない。
「あのですね。やっぱ三人とか無理だし。別れ――」
「拒否権があると思う?」
一松さん。ここで拒否権が認められなかったら、私の人権って。
でもその一松さんは、
「いいよ十四松、松奈もいいって言ってる」
ついに許可を出しやがった! ぱっと顔を明るくする十四松さん。
「言ってませんよ!!」
「……いいの?」
私の拒否を見て、ややためらう五男。
「いいって」
許可する私の恋人。
「言ってませんから!」
「うーん……」
十四松さんは長い袖で口元を隠し、私と一松さんの顔を見比べた。