第6章 派生②一松&十四松END
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今日も松野家は平和である。
昼間の木造二階建てには三人の住人しかいない。
そして三人のうち二人は、和やかに話をしている。
「皆、平日の昼間っからどうかしてるよな、十四松」
「ホント、ホント! そろってパチンコに行っちゃうなんてさ!」
皆で野球でもすればいいのに!と、明るく笑う十四松さん。
「ん……んう……っ……ん……」
和やかな会話の中に、くぐもった苦しそうな声。
けれど二人は、何も聞こえていないかのように、
「六人で野球は無理だろ」
「松奈を入れれば七人だよ!」
「変わんねえって」
どうでもいい会話が続いていく。
「てかさ。松奈、野球のルールって分かる?」
一松さんが私の身体を撫でる。
「……んー……、んんっ……ん……!」
「答えられるわけないでしょ、一松兄さん。
それとダメだよ、松奈。もっと集中しないと」
十四松さんが袖で私の頭をぺちぺち叩きながら言った。
「そうそう。あんまり苦しそうだと、萎えるから止めてくんない?」
腰を引き、一松さんが言う。一松さん……どの口で……。
「ホント。平日の昼間っからどうかしてるよな、俺らも」
「確かに!」
二人は笑う。
私は笑っていない。
私がどんな体勢かというと、まず口に布をつめられている。
猿ぐつわってやつだ。
そしてうつぶせにされ、十四松さんの膝に頭を乗せる格好。
両手は十四松さんに押さえつけられている。
最初、一松さんは私の両手も縛る予定だったけど『可哀想だよ~』という十四松さんの言葉で流れた。
ありがとう十四松さん! だがいずれは殺す!
着衣は、上がシャツ一枚。下は何もつけてない。
で、その状態で一松さんにヤラれてます。
お口のご奉仕を強要されてないだけ、まだ楽だけど、猿ぐつわのせいで呼吸がかなり辛い。
異物を取りたくて無意識に手が動くけど、もちろん十四松さんに腕を押さえられている。
「ダメだよ、松奈」
押さえる手は優しいのに、私が動かそうとしてもピクリともしない。
彼の人間離れした身体能力は、松野家の誰もが知るところだ。
「十四松、我慢できそう?」