第6章 派生②一松&十四松END
「えと……兄さん。触っていいの? ボタン外していい?」
「いちいち許可取るなよ。好きにしていいから」
何で一松さんが許可を与えてんですか。
一松さんはあぐらの上に私の頭を乗せた状態。
私の手首を押さえ、ときおり袖で私の涙をぬぐう。
「俺に抱かれてるって思えばいいよ。どうせ同じ顔。DNAまで一緒なんだよ?」
思えるわけないっ!! 口に出せないまま首を必死に振ると、まぶたを手で覆われた。
「じゃ、何も考えない方がいい。抵抗するほど後が苦しくなるだけだから」
優しい声でそう言った。
「……ん……んぅ……」
視界がふさがれ、声も出せず、触られる感覚と、あとは音だけの世界。
十四松さんの声はあまり聞こえないけれど、私の身体に触れる手は熱い。
性急な動きでボタンが外され、前をあらわにされる。
「……兄さん、僕、やっぱり……」
「一度、決めといて今さら何言ってんの。○T卒業のチャンスだろ?
大体てめえのブツ反応させといてよく言うよな」
口調を変え、蔑むように一松さんが言う。
クズそのものの物言いが、私の好きな人の口から出ていると、信じたくない。
そして胸に感触があり、ビクッとする。大きな手が私の胸を愛撫している。
でも私の好きな人の手では無い。こんなに荒く、余裕なく触れてはこない。
「松奈に嫌われちゃうよね。もう頭を撫でてもらえないかな」
愛撫しながら、泣きそうな声がする。
「ここで止めたって同じ。やって嫌われてこいつがいるのと、やらないで嫌われてこいつがいなくなるの。どっちがいい」
……やらないで嫌われて、『いなくなる』……?
「松奈。好き。もう信じてくれないと思うけど、ずっと好きだったよ」
そんな声がして。
「一松兄さん、松奈にキスさせて。直接は、しないから」
布の上から、熱い感触がした。
真っ暗な視界の中、ひたすら息づかいがする。
「何だ、結構反応してるじゃん。実はビッ○だった? いくら同じ顔だからって引くわー」
一松さんはさっきと真逆なことを言いながら、上から指先で私の胸を弄る。
ただ私の後頭部に当たる一松さんの……も、かなり硬くなっているけど。
自分の女を弟に好きにされて反応するって、どういう性癖なんだこの人。